「男性も女性も対等な立場で」

中嶋玲子さん（福岡県議）講演

　延岡市男女共同参画社会づくり講演会が８月２７日、同市の延岡総合文化センターであった。福岡県議会議員の中嶋玲子さんが「ともに創ろう男女共同参画のまちづくり」をテーマに話した。

　中嶋さんは結婚を機に保育園を退職し、農業に従事。地域の意志決定に女性が入る必要性を感じ、１９９５年の杷木町（現・朝倉市）議会議員選挙に立候補し、トップ当選した。２００２年には九州初の女性町長として杷木町長に就任し、１９年から現職。

　講演は、市が「第３次のべおか男女共同参画プラン」を策定したことから、啓発の意味や「男女共同参画社会について考える機会になれば」との思いから企画した。

　中嶋さんは１７年に発生した九州北部豪雨で被災。当時の写真を見せながら、「まさか」の災害に複数の住民が命を落としたこと、日常の景色が一変したこと、家が壊れ、ふるさとを離れないといけない人が多くいたことなどを紹介した。

　毎年各地で災害が起きている状況に「災害はすぐそこまで来ている」とし、「災害に強い社会の構築には、男女共同参画の実現と地域コミュニティーの取り組みが不可欠」と強調。これまで、男性だけで物事が決められることが多かったことについて「男性だけでいろいろ考えても、全体の半分は女性。１人の担い手として、男性も女性も対等な立場でやっていくことが大事」と訴えた。

　また被災後、住民に背中を押されて県議に立候補した自身と重ねて「発言や質問によって、少しでも前進させていくことが大事。それは議会だけでなく地域のまちづくりも同じ。自分の思いを伝え発言することで、地域を形成していかないといけない」と話した。

　男女共同参画については「男性と女性が一緒に計画を立てたり、物事を決めたり、意見を出し合ったりする方法で、男女が関わりながら男女平等の社会をつくっていこうというもの」と説明し、「女性が参画する機会を確保することが法で保障されているが、地域ではなかなか進んでいない」と指摘した。

　「男性は女性を認めて」「女性は自分の大事な町の人間として、何かをやるという思いを持って」と呼び掛け。最後は、中嶋さんが講演のたびに話しているという、役を受けたときの言葉「私でよければ頑張ります。慣れていませんが頑張ります」を全員で唱和し、「女性はいろんな役に当てにされてこなかった。見くびられ、させてもらわなかったから慣れていないだけ。きっとできる。自分なりにやって成長していけばいい」とエールを送った。