バスケ通じメンタルヘルス

日本一周中の原匠さん、延岡入り

　自転車で日本一周の旅を続けながら、バスケットボールを通じてメンタルヘルスの普及啓発活動に取り組んでいる原匠さん（２６）＝慶應義塾大学ＳＦＣ研究所所員、大阪府出身＝は４日、延岡市入り。中島スポーツ（同市安賀多町）の中島宏一郎代表（５０）宅に７日まで宿泊し、市内の高校バスケットボール部の生徒と交流を深めた。

　小学生の頃からバスケットボールを続ける原さんは、地元の高校を卒業後、慶應義塾大学環境情報学部に進学し、在学中にうつ病を患った。

　家族やバスケットボール仲間に支えられて一度は元気を取り戻し、卒業後、大手保険会社に就職した。しかし再び、うつ病を発症。「これからの人生を前向きに生きていくために、幸せに生きていくために、いったんしっかり自分と向き合おう」と決意する。

　「苦しんでいた時、同じような経験をした友人に話を聞いてもらい、とても安心できた。救われるような感覚を覚えた」と原さん。「自分自身の経験を発信することで、同じ悩みを抱える人の力になれるのでは」と昨年３月、メンタルヘルスの普及啓発活動を目的に、自転車での旅をスタートさせた。

　全国各地で講演活動やバスケットボールを通じた交流を重ね、ホームページやＳＮＳ（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）でも積極的に発信を続けている。４７都道府県のうち宮崎県は４１カ所目。来月中旬に日本一周を達成予定という。

　中島代表は、原さんとは初対面。原さんを知る福岡県在住の延岡西高校の先輩から「延岡入りした時はよろしく」と託されたという。「つらい経験をしたのに、それを糧に人のために動こうとしている姿はかっこいい」と背中を押す。

　原さんは滞在中、５日に延岡工業高校女子バスケットボール部、７日は延岡学園高校男子バスケットボール部と交流し、自身の体験などを語った。８日、大分県に向けて出発した。