新型コロナ週刊トピック

本紙掲載日：2022-10-29

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欧米とアジア異なるウイルス

　新型コロナウイルスの感染者数は全国、県内とも減少傾向ですが、１人から何人に感染が広まっているかの指標となる実効再生産数は、多くの都道府県で増減の目安となる「１」を超えています。

　一方、海外では欧米とアジア地域で、異なるウイルスの新型コロナ感染がにわかに広まり始めています。今回はこうした海外の感染状況についてリポートします。

◆国内・感染者数が下げ止まり

　まずは国内ですが、全国的に実効再生産数が「１」を超えているのは、今月の連休（８～１０日）後から感染者数がやや下げ止まりしているためです。

　延岡市内では高齢者関連の３施設で発生したクラスター（感染者集団）の影響が続いており、酸素投与が必要な中等症Ⅱの患者もまだ多いといいます。

　また、市内の宿泊療養施設（ホテル）は、入院待機者であふれるほどだった夏場とは違いますが、現在は家庭内感染が起きる不安のある新規感染者を受け入れており、こちらもやや混雑が続いています。

　現状について県新型コロナ対策調整本部の佐藤圭創特任医師は、「連休効果による一時的な感染者の増加」とみています。

　ただし、市内の感染者数のピークはデルタ株の時期が１日当たり２７人、ＢＡ・１期が７０人、ＢＡ・２期が９９人だったのに対し、今月１７日には９３人、２４日時点も８３人が確認されており、佐藤医師は「これを多いとみるか少ないとみるかです」と問い掛けています。

◇海外でオミクロン亜種が流行

　海外は米国・欧州とアジアで、異なるオミクロン株の亜種の増加が確認されています。欧米では主にＢＡ・５から派生した「ＢＱ・１」「ＢＱ・１・１」、アジアではＢＡ・２から変異が進んだ「ＸＢＢ」などの感染が広がっており、次に日本でどちらの系統のウイルスが流行するかが注視されています。
佐藤医師は最近の傾向として、前回どの系統が流行したかによって次の兆候を予測できるようになってきたといいます。

　これに当てはめると、アジアでは前回、ＢＡ・５の感染が爆発的に拡大したことから、比較的広まらなかったＢＡ・２系統が次の流行の主流となっており、欧米ではその逆の現象が起きていると考えられます。

　ＢＱ・１、ＸＢＢとも、感染力は日本をはじめ世界で爆発的に拡大したＢＡ・５を上回り、ＸＢＢの方がＢＱ・１よりも強いとされています。この１週間で次々と発生報告や研究データが寄せられており、これから詳しいことが分かってくるとみられます。

◇ＢＡ・５をしのぐ感染力のＸＢＢ

　その中で、ある程度そろってきたＸＢＢの情報についてお伝えします。佐藤医師によると「Ｘ」と表記されるウイルスは、２種類の株が交差反応で一体化した変異型で、ＸＢＢはＢＡ・２系統の異なる亜種同士がくっついて生まれたといいます。

　そうなると、ＢＡ・５が大流行した日本にとって、ＢＡ・２系統のＸＢＢは次に警戒すべきウイルスの一つとなります。８月にインドで見つかり、現在はシンガポールで急速に感染が拡大しています。

　インドを中心に流行したＢＡ・２・７５（通称ケンタウロス）よりも明らかに広がる勢いが早く、ＢＡ・５よりも２０％以上のスピードで拡大しています。ワクチンを接種済みでオミクロン株に感染した人でもＸＢＢに感染する恐れがあり、感染者の１７％が再感染だといいます。

　日本でも市中感染こそ報告されてはいませんが、すでに水際の検疫ではかなり確認されており、これから入国者が増加することで国内にウイルスが侵入する可能性は高いとみられます。

◇インフル、米国も１カ月半早く流行

　米国で流行しているウイルスはＢＡ・５から、亜種のＢＱ・１などへの置き換わりが進んでいます。重症化率はＢＡ・５と変わらないということですが、ＢＱ・１とＢＱ・１・１はすでに日本でも帰国者から検出されています。

　一方、米国ではすでに、例年よりも１カ月半早くインフルエンザが流行期に入りました。インフルエンザは米国や欧州ではやり始めると、１カ月ほどで日本にも広がる傾向があり、佐藤医師は「１２月中旬から年明けすぐにかけて患者がかなり増えてくるのではないか」と話しています。

◇弱毒化の兆候も

　最後に朗報ですが、佐藤医師によると、現在確認されている新型コロナを調べると、ウイルス変異が共通した部位に集中して起き始めているといいます。
これは「収斂（しゅうれん）進化」と呼ばれる、ウイルス感染症ではかなり後期に見られる現象なのだそうです。もしそうだとすれば、あくまで希望的観測ですが、いわゆる風邪のように、感染は広がりやすくても重症化しにくくなる流れに入ってきていることになります。