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和牛オリンピック・連覇への道、県代表牛への思い(3)

本紙掲載日:2022-09-23
1面
全共3区に県代表として出場する林秋廣さんと「こうみほ」

5年に1度の夢舞台、5大会連続出場−林秋廣さん=高千穂町河内

◆最高の笑顔での凱旋へ

 「牛が私と一緒に戦えて良かったと思ってくれたら一番うれしい」。畜産関係者にとって5年に1度の夢舞台、全国和牛能力共進会(全共)に5大会連続出場する林秋廣さん(69)=高千穂町河内=が、10月の鹿児島全共へ懸ける思いは強い。

 8月に小林市であった県代表牛決定検査会で、3区(若雌・17〜20カ月未満)代表に選出。2017年宮城全共では、4大会連続の優等賞を獲得するも6席に甘んじた。「難関」と話す県代表の座を見事つかみ、全共での雪辱に燃えている。

 高校卒業後、東京都の美大に進学。1988年ごろまで油彩画をなりわいとするも、亡き父・竹士さんと母・美智子さんが倒れたことを機に帰郷した。当時は農家を継ぐ気はなく、竹士さんが飼っていた牛2頭を世話しながら絵を描く生活を送っていたという。

 そんなある日、作品が高値で売れたため牛1頭を購入した。描画で培った審美眼を生かし「一番きれいな牛」を選んだところ、その牛が品評会などで好成績を納めるように。96年には町の認定農業者第1号となり、翌97年、自宅の敷地に「はやしきゃとるふぁーむ」を設立。現在は母牛36頭、子牛22頭の世話を一手に担っている。

 飼育法は全て独学で、書棚には97年以降、牛の状態や食べたものなどを詳細に記録した日誌、各品評会などに集まった牛の写真や情報をまとめたファイル、畜産に関する学術書などが並ぶ。

 今大会に出品する「こうみほ」の強みは従順さ。120センチ×200センチのマットで10分間静止する訓練を毎日欠かさず、時に叱咤(しった)激励しながら良好な主従関係を築いてきた。

 「今年は(宮城全共で総合3連覇を阻まれた)ライバル鹿児島のホーム戦。良い勝負ができる牛ではなく圧倒的な牛をそろえないと確実に負ける」と林さん。脳裏に描くのは、仲間たちと最高の笑顔で凱旋(がいせん)する姿だ――。

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