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後遺症発現率20%超

本紙掲載日:2022-09-10
1面

新型コロナ週刊トピック

◆続く医療提供態勢の危機的状況

 県内では新型コロナウイルスの感染状況がピークを超えましたが、新規感染者数は依然として1500人前後で推移し、死亡者も連日報告されるなど、医療提供態勢の危機的状況が続いています。

 陽性者の大半は軽症、無症状ですが、かねてから懸念されていた後遺症の発現率が20%を超えることが明らかとなり、県北も受診者の増加が続いています。そこで今回は、現在分かっている新型コロナ後遺症の症状や治療などについて、改めてお伝えします。

◆拠点病院、なおも綱渡り状態

 直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は、宮崎県が都道府県別で3〜4番目に多く、全国的に見てもなかなか高止まりが収まらない状況です。

 県北も新規感染者の報告数こそ徐々に減少していますが、高齢者施設などを中心に重症者や死亡者がさらに増える恐れがあり、拠点病院では〃綱渡り状態〃が続いています。

 延岡市内では台風が接近した先週末から週明けにかけて救急要請が減少しましたが、6日夜〜7日朝は、この間に症状が悪化した陽性者らからの119番通報が殺到する事態となり、医療現場はかなり緊迫といいます。

 感染者の年代はこれまで子どもが多かったのですが、今週から高齢者が増加気味です。一方、関係者の間では来週にかけて小中学校の新学期スタート、翌週には大学の夏休み明けに伴う感染再拡大も懸念されています。

◆療養終えても症状−最も多い頭痛

 世界中で猛威を振るったオミクロン株により、感染した人が療養期間を終えても症状を引きずったり、それまでなかった症状が現れる「後遺障害」が多発しています。

 米国のデータによると、オミクロン株の後遺症発現率は23%と高く、4〜5人に1人が発症している計算になります。症状で最も多いのは頭痛で全体の22%、次いで鼻水や鼻詰まりが19%、腹部不快感18%、倦怠(けんたい)感17%、下痢13%と続きました。

 全国的にも数少ない後遺症専門外来を担う佐藤圭創医師(県新型コロナ対策調整本部特任医師)のもとにも、後遺症を訴えて受診する患者の数が、オミクロン株への置き換わりで以前の3倍にまで増加したといいます。

 その症状は、せきや息苦しさなどの呼吸器症状、頭痛・手足のしびれ・目まい・ブレインフォグ(思考障害)などの神経症状、うつ状態・不安神経症などの精神症状、味覚嗅覚障害などの感覚器症状、脱毛・発疹などの皮膚症状、強い全身倦怠感・微熱持続などの全身症状、関節痛・筋肉痛、胸焼け、下痢、急な発汗など多彩です。

 中でも隔離期間解除の1〜2週間後に急に肺病変が表れて呼吸困難になったり、身の回りのことができず終日横になっていなければならないような強い倦怠感、筋肉痛・関節痛などで動けない、頭痛がひどくて学校に行けない、記憶力や集中力が低下して仕事ができないなど、社会生活ができないほどの症例が増加しています。

◆早期発見、早期治療が肝心

 後遺症は、感染して軽症や無症状だった人でも発症するため注意が必要です。特に肥満の人の発現リスクは5倍も高まります。感染した時に脱毛や強い頭痛、強い喉の痛みを伴ったり、下痢などの消化器症状があった場合も出やすくなります。

 ただ、適切に対応すれば、多くは徐々に改善します。何よりも早期発見、早期治療が重要で、治療開始が遅れるほど症状が長引く傾向にあります。

 延岡市医師会は後遺症の治療・対応マニュアルを作成しており、後遺症が疑われる場合はまず、かかりつけ医に相談してもらい、必要に応じて後遺症外来(市医師会病院など)へつないでいます。

 症状に応じた薬(対症療法)で治る場合も多く、症状が重い場合はほぼステロイド治療で完治します。

◆ワクチンは後遺症抑制にも効果的

 後遺症の発症や症状を抑えるのに新型コロナワクチンが高い効果を発揮することは、デルタ株が流行した時期から分かっており、実際に佐藤医師の後遺症外来を訪れる患者の多くがワクチンを未接種だったといいます。

 一方、オミクロン株の感染が爆発的に拡大して以降、ワクチン接種に関して、延岡市内の医療機関からは困惑の声が上がっています。それは療養期間を終えて間もない陽性者の接種についてです。

 感染後のワクチン接種に明確なガイドラインはありませんが、市医師会によると、感染して療養期間が解除されてからも症状の継続や再発、後遺症などさまざまな不調を来すことがあるそうです。

 一方でワクチンを接種すると発熱や倦怠感、筋肉痛などの副反応が出やすいため、それらの不調の原因が分からなくなり、適切な対処が困難になります。

 こうしたことから、市医師会ではみなし陽性や濃厚接触者に認定された人を含め、ワクチン接種は療養・待機期間解除から「2週間」の間隔を空けるよう呼び掛けています。

◆後遺症は社会現象、職場や学校は理解を

 後遺症に苦しみ、職場や学校でなかなか通常通りに活動できない人が増えています。佐藤医師の後遺症外来にはそうしたストレスで、うつや引きこもりなど二次的な精神面の障害を訴える人も相次いでいるといいます。

 佐藤医師は「感染した4人に1人が後遺症を発現するというのは、もはや社会現象です。感染したことに気付かずに後遺症だけ出る人も多く、職場や学校をはじめ、ぜひとも社会的な理解を広めるべきではないでしょうか」と訴えています。


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