新型コロナを乗り切る緊急インタビュー・県美容組合延岡支部長豊田まつえさん

今はルールを守り、協力する時

◆成人式典延期は残念−晴れの日、精いっぱいのお手伝いを

　結婚式や披露宴は中止、または延期と、今年はブライダル業界も大きな打撃を受けた。年明けには成人式の式典が予定されていたが、１８日には延岡市、日向市、門川町は延期を決定。新型コロナウイルス感染症の拡大は式典をふるさとで迎える予定だった若者たちにも影響が及んでいる。若者の晴れの日を美しく演出する美容関係者も不安を隠しきれない様子だ。県美容業生活衛生同業組合延岡支部の豊田まつえ支部長に現状と対策を聞いた。

――コロナ禍をどう捉えていますか。

世界中みんながつらく苦しい、同じ思いをしていると思います。その中で自分だけ、あるいは自分の業界だけという気持ちでは絶対に乗り越えることは不可能。この苦境を生き抜くためには、感染をしない、広げないを肝に銘じて与えられたルールを守る。みんなで協力し合わなければならない時だと思っています。

――あらゆる面で翻弄（ほんろう）されました。

私の店も例外ではありませんが、業界全体で、３月の卒業シーズンから入学シーズンにかけて売り上げがガクンと落ちました。特にブライダル関係の仕事に特化しているお店は結婚式の中止や延期で大きな打撃を受けました。
組合員の店は１人で切り盛りしている方が多いので持続化給付金を受けて何とか乗り切ったというのが正直なところ。一方で従業員をたくさん抱えているお店は大変だったはずです。店を閉めた組合員はいませんでしたが、この状態がこれ以上続くと、持ちこたえていたお店も深刻な状況に直面すると思います。

――組合としての対応策は。

全日本美容業生活衛生同業組合連合会が１６ページにわたるガイドラインを出しています。正しい手洗いに始まり、３密を避けることの意味、お客さまと接触する際のリスク評価、施設内の対策など多岐にわたって細かく紹介されています。
これに従っているかどうかを確認するために、役員で３０軒ほどのお店を抜き打ち調査しました。対策が十分でなかったお店には、改善点を指摘し、さらに２週間後に再び抜き打ち調査を行った結果、すべてのお店で対策を講じていました。
組合員のお店のオーナーが作った〃ひもなしマスク〃もあります。お客さまが普通のマスクをしていると施術がしづらいので、「何とかしたい」との思いで作ったそうですが、医療用テープで顔に固定するタイプでお客さまには必ず着けていただいています。コストは掛かりますが、お客さまとスタッフの安心・安全には代えられません。
余談ですが、県の組合を通じてこのマスクを紹介したところ、全国の美容業界で大きな反響を呼び、人気商品になっています。コロナ禍は苦しいものですが、延岡発で隠れたヒット商品が生まれたことは少し明るい話題です。

――成人式の延期が相次いで発表されています。

先日も県組合の理事会で対応策が協議され、全美連のガイドラインに従い、対策を徹底することを改めて確認しました。
来年成人を迎える皆さんは、一生に一度の成人式が、たまたまコロナ禍の時期と重なってしまった。延期されたことは残念ですが、その時が来たら私たちは精いっぱいの気持ちを込めて、お祝いのお手伝いをさせていただきたい。それは組合員一同が同じ気持ちです。不自由な面もあると思いますが、感染拡大が静まり、無事に晴れの日を迎えていただけるよう願っています。