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海外引揚げ故郷への思い

本紙掲載日:2017-06-20
6面
解説する古舘豊さん
手記を朗読する池田知聡さん

古舘さん解説、池田さん朗読−第14回平和祈念資料展

◆シベリアでの過酷な労働、孫へ伝える森永さん手記

 延岡市立図書館(丸山奈緒美館長)で始まった「第14回平和祈念資料展」の資料解説・朗読会が18日、同館であった。同展の企画構成など全般を手掛ける軍事史研究家の古舘豊さん(東京都)が、長年にわたる聞き取り調査などで分かったことを展示資料をスクリーンに映しながら解説。俳優・声優として活躍する池田知聡さん(宮崎市)は、延岡市出身のシベリア抑留体験者の手記などを朗読した。

 同展のテーマは「海外引揚げ故郷へ故郷へ」。約660万人が終戦を海外で迎えたといわれ、その後、軍人らのシベリア抑留、民間人の北朝鮮や満州(現在の中国東北部)からの引揚げがいかに過酷なものであったかを物語る展示になっている。

 古舘さんは、シベリア抑留体験者である吉田勇さん、佐藤清さん、関豊さんらが描いた絵画や展示資料を映し、それぞれの内容を説明。森林伐採は、木材を運び出しやすいからとマイナス30度を下回る真冬に作業していたこと、わずかな黒パンと粥(かゆ)だけで抑留者たちが飢えに苦しんでいたことなどを解説した。

 このうち、村田金悦さん(高知県出身)の両袖がない「袖無し外套(がいとう)」は、飢えに耐えかねて防寒服の袖を片方ずつ2回に分けてソ連労働者が持っていた黒パンと交換したものという。「後には靴下など交換できるものは何でも交換した。凍傷になるより、その場の飢えを何とかしないといけないと抑留者は追い詰められていた」と話した。

 軍とは別に満州、北朝鮮から引揚げた民間人についても説明。三宅一美さんが、北朝鮮から徒歩で38度線を越えた女性や子どもを撮影した写真などをスクリーンで見せながら解説した。

 昭和15年に夫の市二さんと北朝鮮へ渡った森永トミエさんが孫に宛てて書いた引揚げ体験も今回展示。16年に長男悦郎さんが誕生。20年6月に夫が応召し、その翌月に二男勇二さんが生まれた。しかし敗戦で食べるものはなく、生後8カ月で勇二さんは死去。トミエさんは悦郎さんの手を引いて38度線を越え、21年5月に帰国した。

 池田さんが森永さんの手記の一部を朗読。お乳が出なくなって勇二さんがやせ細りつつも、なすすべがなかったこと、「この子だけは」と命懸けで悦郎さんを連れて帰った母親の姿を思い浮かべながらすすり泣く人もいた。古舘さんは「お孫さんに伝えなければ、というトミエさんの思いがひしひしと伝わってくる手記」と話した。

 第14回平和祈念資料展は7月9日まで延岡市立図書館内で開催。開場時間は平日午前9時から午後7時まで、土・日曜は同5時まで。月曜休館。

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