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「地域を見守って」

本紙掲載日:2023-07-20
3面

山陰神社にカッパの夫婦像−日向市東郷町

◆除幕式と入魂祭−彫刻師は北川出身の名人村田氏

 日向市東郷町の山陰神社(都甲幸之宮司)に長く仮置きされていたカッパの夫婦像が、このほど正式に設置され、16日に除幕式と入魂祭が行われた。地元の人たちは「いつまでも仲むつまじく、地域を見守り続けてほしい」と話している。

 カッパの夫婦像は地元の彫刻師・村田金吾氏(故人)の作品で、同町鶴野内地区で食堂を経営していた夫婦から依頼を受け1982年、72歳の時に制作された。

 立っているのが雄(高さ約150センチ)で、座っているのが雌(高さ約110センチ)。雄の甲羅には「難転来福」、雌の甲羅には「家庭円満」の文字が刻まれている。

 しばらくは食堂の敷地内に立てられていたが、食堂の閉店に伴って2005年に同神社に譲渡された。

 同神社では20年から、地元有志がシャクナゲの植栽による憩いの場作りを進めており、その整備と併せ、カッパの夫婦像を正式に、耳川を望む参道沿いの一角に設置することになった。

 この日は地元の人たち約50人が参加。除幕式では子どもたちの手で除幕後、雄に魚を突く道具「かなつき」を持たせ、雄と雌それぞれの頭の皿に沢水がかけられた。続く入魂祭では都甲宮司(76)による神事が行われ、餅まきもあった。

 地元の河童(かっぱ)奉賛会会長、筌瀬幹夫さん(73)は「他に例を見ないリアルなカッパの表情で、今にもかみつかれそうな、それでいて拝みたくなる、村田氏の卓越した感性を感じます。たまに魚を取りに川に下りてくるかもしれません」と話した。

 なお、村田氏は旧北川村川内名の出身。「九州の左甚五郎(ひだりじんごろう)」と言われたほどの腕を持ち、九州や四国などに優れた作品を残している。日向市向江町の大師像、神門神社(美郷町南郷神門)の唐獅子、日向市櫛の山の仏舎利塔の釈迦(しゃか)像なども村田氏の作品。

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