和牛オリンピック・連覇への道、県代表牛への思い（５）

西臼杵代表２回も初の県代表−佐藤悟さん＝高千穂町上野

◆幼い頃から牛に親しみ畜産の道に

　「経済動物という考え方もあるのでしょうが、それを理解した上で家族の一員と思えば接し方も変わってくるものです」。第１２回全国和牛能力共進会（全共）鹿児島大会の４区（繁殖雌牛群）に本県代表として出品する高千穂町上野の佐藤悟さん（４２）は、手塩にかける「第８いちこの２８」に優しいまなざしを向ける。

　畜産農家に生まれ、牛には幼い頃から親しんで育った。「よそに勤めてでも畜産の道に進むつもりだった」というほど思い入れは強く、高千穂高校―県立農業大学校（高鍋町）を卒業すると、実家で父義孝さん（７０）、母公子さん（６７）と家業に精を出し、いまは妻の歩さん（３８）も一緒に繁殖牛２１頭の飼育と葉たばこ栽培に励んでいる。

　牛の育成技術は早くから評価され、全共に向けた県代表牛決定審査会には、２０１２年（第１０回全共）、前回１７年（第１１回全共）と過去２回連続で西臼杵代表として出場。いずれも自信はあったが惜しくも県代表の座を逃し、今回〃三度目の正直〃で雪辱を果たした。

　生まれ持った骨格を見極めながら体上線と体下線を意識して、「できる限りしっかりした牛、自信を持って出せる牛」へと育て上げるのが信条。基本となる足元を重視し、体形が滑らかな牛は引き運動で鍛えるなど、「理想を言い始めたら切りがない」ほど、調教のやり方一つにもこだわる。

　「いろんな品評会できれいな牛を見てきた。もっと上の世界（全共）に出品したいという思いの積み重ねでここまで来ることができた」と振り返る佐藤さん。本番を目前に「無事に大会を終えればいい。その上で良い成績が残せれば」と控えめに語りつつ、「実際に他県のライバルを見ると勝ちたくなるのでしょうね」と念願の大舞台を楽しみにしていた。