県民対象・無料ＰＣＲ検査−会社指示などは対象外

窓口でトラブル、県が理解求める−有料は可能

　新型コロナウイルス感染対策で県民を対象に実施している無料のＰＣＲ検査について、濃厚接触者の家族らだけでなく、会社などからの指示で検査しようとして断られ、トラブルになるケースも相次いでいることが、県への取材で明らかになった。県はホームページ上に「会社や学校など団体からの指示で受ける検査は対象外」とする条件を追記して、理解を求めている。

　無料検査は感染に不安を感じる無症状の県民を対象に、ワクチン接種の有無を問わず誰でも受けることができることとなっている。ただし、国の方針もあって、当初から濃厚接触者など一部は対象外としており、その中に会社などの指示による検査が含まれている。

　一方、事業所によっては職場の感染対策や対外的な信頼性のため、県外への出張や旅行から帰省したり、県外からの来客と接した従業員らに陰性確認の検査を受けさせることが習慣化。在宅・リモート勤務明けの出社や、営業先を回る前に陰性証明を求める企業もある。

　移動制限などがない中での爆発的な感染拡大を背景に、ＰＣＲ検査センターや指定薬局での無料検査には今月から希望者が殺到。本来目的とする「個人」を対象にした検査に支障が生じているという。

　これに比例し、会社指示の検査が対象外だとは知らずに予約して訪れた窓口で、無料検査を断られてトラブルになる事例も増加。無料検査の対象条件が十分に周知されていなかったことも要因とみられ、県は改めてホームページ上で対象条件を赤字で明記するに至った。

　検査会場では個人的に検査するのか、指示による検査なのかを尋ねるだけで、厳密に見極めることはできないが、県感染症対策課は「経営者の方などには現状をご理解いただき、無料検査の指示は控えていただくようお願いします」と呼び掛けている。

　なお、無料検査の対象外であっても有料（キャッシュレス決済のみ、１９００円から）で検査を受けることができる。詳しくは県ホームページの「新型コロナウイルス感染症対策特設サイト」に掲載している。