延岡星雲、小林さん（日向）ら好成績

本紙掲載日：2022-07-29

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第６９回ＮＨＫ杯全国高校放送コンテスト県予選

　第６９回ＮＨＫ杯全国高校放送コンテストの県予選が６月９、１０日、宮崎市の清武文化会館で開催された。日向高校２年の小林花代さんがアナウンス部門で２位、延岡星雲高校放送部（鳥丸啓子顧問、井本幸歩部長、１１人）がラジオドキュメント部門３位、テレビドキュメント部門で２位になり、全国大会に進出した。全国大会では、準々決勝としてデータ審査が行われ、いずれも準決勝進出はならなかった。

　県北関係の県予選の結果は次の通り。

【アナウンス部門】②小林花代（日向２）④井本幸歩（延岡星雲３）大津彩誉（日向１）倉本小雪（延岡星雲２）髙橋紬（延岡１）

【朗読部門】④黒木美紅（日向２）

【ラジオドキュメント部門】③延岡星雲「ＣＨＡＮＧＥ！！」

【テレビドキュメント部門】②延岡星雲「ｃｉｒｃｕｌａｔｉｏｎ」

【創作ラジオドラマ部門】③延岡星雲「纏う」

【校内放送研究発表会】③門川「部活動サバイバル～生き残れ！放送部！～」

◆アナウンス部門２位
日向高校２年・小林花代さん－伝わるかをチェックし合う

　校内放送で使用する自作原稿を９０秒以内で発表し、内容やアナウンス技術などを審査する「アナウンス部門」で２位。「アナウンスは楽しい」と話す。

　常に〃何を伝えたいのか〃を意識しているという小林さんは所属する日向高校フロンティア科の先輩が小学生に向けた学習会を行っていることを知って題材に選んだ。何度も取材を重ね、仕上げた原稿は何を伝えたいか、聞き手に情報は伝わるかなどの要点を友人にチェックしてもらう。「第三者が確認するのがいい。お互いにチェックすることで上達する」と地神大介顧問。

　中学生の頃から放送委員会で活動し、経験を高校でも生かしたいと思い入部。最初は放送部に大会があることを知らず、初めての大会は「不安で緊張したが、いい経験になった」。昨年、県予選の同部門で１位になった同校の先輩、大山真弓さんの発表を見て、感銘を受けたという。

　言葉の順番や使い方の正確さなども審査のポイントになるため、普段の話し言葉とマイクにのせる言葉の使い分けを意識して練習した。地神顧問は「一つつ技術をつかんでいっている。また、最初に比べて原稿を書く力も身に付き、今では訂正することは少なくなった」と評価。県予選や上位大会での入賞を念頭に日々指導をしているという。

　音源での予選を勝ち抜き、迎えた本番では「時間を意識した」と小林さん。昨冬の九州大会で時間制限により失格となった経験を生かし、特に時間に気を付けながら読み上げ、見事２位。「次はアナウンス部門第１位を目指す」と目標を掲げた。

◆テレビドキュメント部門２位
「ｃｉｒｃｕｌａｔｉｏｎ」・延岡星雲高校放送部（制作者＝３年・加藤博司さん、２年・小澤純奈さん）－子どもの貧困題材に制作

　延岡星雲高校では、延岡市伊達町のジャンピージャンパー（岩永たまき代表）でボランティア学生の部として、生活困窮者らへの食品支援活動「フードドライブ」を実際に行っている生徒がいる。同校でも文房具の寄付を募るチラシを配っていた。「支援が必要な家庭の手伝いをする利他的な姿勢に感銘した」と話し、それまで名前しか聞いたことのないフードドライブに興味を持ち始め、題材に選んだ。

　生徒が配布していたチラシには、延岡市の子どもの貧困率が記載されていた。社会科の教諭に話を聞いたりして調べてみると、昭和から現在にかけて子どもの人口は減っているが、貧困率は上昇していると分かった。「このままではいけない。どうにかしたい」との思いで制作に取り掛かった。

　活動に協力したいとフードドライブに参加し、寄付する人が明るい表情で支援品を寄付する様子まで撮影。ボランティア学生の部と一緒に活動する岩永代表にも取材し、活動の説明、活動を始めた経緯、学生が参加していることへの思いなどを聞いた。作品中には、子どもの貧困率をグラフにまとめ、深刻さも伝えた。

　「自分たちにできることはこの作品を通して、多くの人にフードドライブを知ってもらうこと」とし、「地域のために尽くしている岩永さんの思いをできるだけ多く伝えないともったいない。この活動を伝えることに意義がある」と話した。

◆ラジオドキュメント部門３位
「ＣＨＡＮＧＥ！！」・延岡星雲高校放送部（制作者＝３年・園田実加さん、２年・倉本小雪さん）－環境音と声のバランス考え収録

　延岡市役所にある就労支援施設を利用する障害者らが働く「アガタ食堂」を題材にし、桑原一太社長の思いを広めたいと制作に取り掛かった。

　市のホームページで目に留まったアガタ食堂の情報。深く調べると、さまざまな人が働いていることを知り、取材を依頼した。取材前には１週間かけて話し合いを重ねて質問内容を厳選し、スムーズに録音できるように機器の設置のシミュレーションまで行うなどの準備に取り掛かった。

　ラジオドキュメントは、音が勝負と言われている。園田さんはテレビで音に注目しているドキュメント番組を見て、「（周りの環境音があることで）とても場面が想像しやすかった」と感じた。そこで、取材時には料理や皿洗いなどの環境音をあえて入れながら、従業員や社長に話を聞いた。しかし、あくまでも声がメインになるため、環境音と声のバランスを考えながら収録したという。

　取材を進めていくうちに、楽しそうに働く従業員の姿や桑原社長の「いろんな人に働いてもらうことで障害への見方を変えてほしい」という思いが印象に残った。２人は桑原社長の「見方を変えて」という思いから、作品名を「ＣＨＡＮＧＥ」に決めた。「桑原社長の思いやアガタ食堂の存在を多くの人に知ってほしい」と話した。