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命の波紋広がる−日向市塩見川

本紙掲載日:2022-07-04
1面
腹を開け、体をブルブル震わせて幼生を川に放つカニ(日向市の塩見川河口)
大きな口で幼生を吸い込むボラ

ベンケイガニの仲間−河口で幼生放出

 陸地にすむベンケイガニの仲間が、ふ化したばかりの幼生を川に放つ神秘的な光景が県北の河口域で見られている。

 「幼生放出」と呼ばれ、毎年この時期から8月ごろまで大潮の満潮時に観察される。

 日向市の塩見川河口には夕方から赤いはさみが特徴のアカテガニやベンケイガニがぞろぞろと集まり、辺りが薄暗くなるのを待って一斉に放出を始める。

 川に漬かった雌が腹を開けて体を震わせると水面に波紋が広がり、「ゾエア」と呼ばれる幼生が煙幕のように流れ出す。1回に放される幼生は4〜5万個。脱皮を繰り返し、1カ月で体長3ミリほどに成長するという。

 川にはボラの群れが待ち構え、大きな口で幼生を吸い込んでいた。

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