２年ぶり、伊形花笠踊り

本紙掲載日：2021-08-16

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大人７人による奉納の後、１１人の小学生がシラサギの舞を披露

猛特訓に励んだ子どもたち１１人も練習の成果を披露した

４００年以上の伝統－龍神祭に合わせ奉納

◆小学生がシラサギの舞－延岡市石田町

　伊形花笠（がさ）踊り保存会（重黒木實行会長）は１５日夕、延岡市石田町の石田公民館で県と市の無形民俗文化財に登録されている「伊形花笠踊り」を奉納した。花笠踊りの奉納は２年ぶり。

　同踊りは、伊形地区に４００年以上も前から続く伝統芸能。７日７晩にわたり続いた津波が、村人たちが避難していた小高い丘にある山王神社（現在の日枝神社）にどこからともなく現れた７羽のシラサギの舞によって収まったことが由来とされる。以降、農村、農耕の無事を祈り、毎年８月１５日に開かれる「龍神祭」に合わせ、踊りの発祥とされる日枝神社で奉納している。

　この日は連日の悪天候で同所に変更。シラサギに扮（ふん）した男性７人が横一列に並び、太鼓と歌い手の声に合わせ、１番は扇子で波を表現し神様にお願いする場面を、２番は御幣を用いて津波退散を祈る舞を、３番は再び扇子を手に波を切り、津波が収まったことを喜ぶ姿を、力強く舞った。

　奉納を前に同日午前、伊形中央公民館で「龍神祭」を実施。半年以上かけて制作した舞い手が踊る際にかぶる花笠や新浜町で取ってきた砂などを神前に供え、海にいらっしゃるとされる龍神様を招き、宿らせた。

　重黒木会長によると踊りは長年、地元の青年団や消防団の成人男性が担当。しかし人手不足なども考慮し、１９９３年に踊りを伝承する保存会を設立した。以降、継承を目的に子どもへの指導にも力を入れ、夏休みに伊形小の希望した児童を対象に指導している。

　大人の奉納後、伊形中央公民館で特訓に励んだ１１人の子どもたちが踊りを披露。例年であれば７人のみが踊るが、今年はコロナ禍で披露機会が少ないことを踏まえ、これまで認められていなかった女子児童も特例で舞った。１番を終えるたびに地域の人らが訪れ満員となった会場は大きな拍手に包まれた。

　重黒木会長は「単なるイベントとは違いお礼の行事。できる限り欠かさないようにと思った。みんな頑張ってくれた。やって良かった」と安堵（あんど）の表情。伊形小の日吉豊和さん、髙本康介さんは「緊張したけどうまくできて良かった。踊りを伝えていきたい」、塩月優太さんも「少し緊張したけど、１００％踊ることができた」と満足顔。女子で初めて舞台を踏んだ甲斐あゆ奈さん、西田楓花さん、倉本日香梨さんは「不安はあったが（踊れると聞いて）とてもうれしかった。うまく踊れました」と笑顔だった。

　１６日夕には、新浜町の長浜海岸で、花笠に宿った神様に感謝し、花笠と共に海に帰す「笠流し」の儀がある。