浸水被害軽減へ－国交省延岡

本紙掲載日：2021-04-08

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五ケ瀬川水系流域治水プロジェクト

◆国、市町、企業など協働で取り組み

　国交省延岡河川国道事務所（甲斐靖志所長）は３月３０日、流域での浸水被害軽減を図る「五ケ瀬川水系流域治水プロジェクト」をとりまとめ、公表した。国や流域自治体、企業などが協働し、治水対策に取り組んでいく。

　流域治水プロジェクトは、全国各地で豪雨災害が激甚化・頻発化する中、流域全体を俯瞰（ふかん）し、あらゆる関係機関、企業などが協働して治水対策を推進することを目的としている。五ケ瀬川流域では上下流・本支川の流域全体を俯瞰し、国や県、市町が一体となって対策に取り組む。

　九州有数の流域面積を有する五ケ瀬川水系は、下流部の延岡市に北川や祝子川といった支川が集中合流する流域特性を持つ。事前防災対策を進める必要があることから、２０２０年８月に関係機関が参画する流域治水協議会を立ち上げ、プロジェクトの策定に向けて協議を進めてきた。

　柱となるのは、①氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策②被害対象を減少させるための対策③被害の軽減、早期復旧・復興のための対策。①は、堤防整備や河道掘削、適正分派、排水施設の整備など。②は、土地のかさ上げや重要施設の移転、霞（かすみ）堤の保全など。③は、洪水予測や水位情報の提供の強化、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成促進と避難の実効性確保など。

　対策は事業によって約５年の短期、約１０年の中期、約２０～３０年の中長期的スパンで進める。短期では、五ケ瀬川下流域で適正分派やそれに付随する河道掘削を実施。祝子川の堤防整備なども進める。また、砂防えん堤の整備などを進めるほか、内水氾濫対策としてポンプ場の改築・耐水化などを行う。

　中期では、河道掘削や延岡市天下町の防災ステーション整備、祝子川の築堤・護岸、ポンプ場整備など。中長期では、適正分派に関わる築堤、河道掘削や河口処理を行い、流域内の治水安全度向上を図る。

　全体の残事業費は、河川対策で約８０億円（国、県による河川整備計画に関わる事業費）、砂防対策で約９０億円、下水道対策で約２０億円を見込む。

　同プロジェクトの最終とりまとめは、五ケ瀬川水系流域治水協議会のホームページ（ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｑｓｒ．ｍｌｉｔ．ｇｏ．ｊｐ／ｎｏｂｅｏｋａ／ｋａｓｅｎ／ｒｙｕｉｋｉｔｉｓｕｉ．ｈｔｍｌ）に掲載されている。