接触機会減へ実証実験−高千穂町の旅館組合

顔認証システムで「顔パス巡り」

◆最初に登録するだけ−利便性向上

　コロナ禍でも安心して観光が楽しめる環境づくりを目指して、高千穂町旅館業組合（佐藤雄二郎組合長、２１事業所）はこのほど、顔認証システムで接触機会を減らす「高千穂顔パス巡り」の実証実験を行った。

　同組合によると、高千穂顔パス巡りでは、観光客が訪れる宿泊施設、飲食店、観光施設に顔認証機能付きの検温機器を設置。宿泊施設のチェックイン時に一度、登録すれば、他の施設で名前確認など入場管理が必要なくお金もその場では払う必要が無くなるシステムを目指している。

　このシステムにより、キャッシュレスで観光を楽しめ、観光客と受け入れ施設スタッフの接触機会が減ることで新型コロナウイルス感染症予防になるという。

　１回目の実証実験では、町内の４宿泊施設にカメラ付きの検温機器を設置して、宿泊客がチェックインした時に名前などの情報と顔写真を登録。宿泊者が高千穂神社での観光神楽を訪れた時にカメラで顔を認証するだけで、受け付けなどを省略して鑑賞した。

　このうち、千穂の家グループのホテル四季見には宮崎市の女子大学生１組４人が参加。チェックイン時に１人ずつカメラ付き検温機器で検温と顔写真登録を行い、高千穂神社では顔認証のみで入場した。

　大学生の一人（２０）は「宿泊や観光する時は感染対策ができているところがいい。簡単でどの世代の人にも使いやすいし、お客も店員も安心できて良いシステムだと思う」と話した。

　このシステムは、導入する施設の数などが多ければ多いほど、利便性も向上する。ホテル四季見の佐藤崇支配人は「このシステムが宿泊、観光へ行く場所として選んでもらえる一つのきっかけになる。千穂の家グループの他の施設とも連動できれば」と期待を寄せる。

　同組合は今後、個人情報の取り扱いなど課題を検討しながら町内の観光施設などへ導入を働き掛けていく予定。佐藤組合長は「反省点を次に生かし、このシステムを町全体に広げていきたい」と話した。