谷岡氏に若山牧水賞−宮崎市で授賞式

「文体、リズムが評価されうれしい」

　第２５回若山牧水賞の授賞式が１６日、宮崎市であった。歌集「ひどいどしゃぶり」で受賞した谷岡亜紀氏（６１）＝神奈川県在住＝は「大きな賞をいただいたと実感した。文体やリズムという面が評価され大変うれしい」と語った。主催は県や延岡市、日向市など。後援は夕刊デイリー新聞社など。

　谷岡氏は高知県出身。早稲田大第一文学部西洋哲学科中退。短歌結社「心の花」選者で、アジア各国を旅した体験を歌にする作品が特徴。受賞作は第５歌集で昨年８月の発行。

　アジア各国の旅や趣味のボクシングやパラグライダーなど異彩を放つ題材・テーマで評価を受けてきた。受賞作は、新型コロナの影響で短歌講師の仕事もリモートが増えた時期に制作。「時間ができたからと、主題や演出をつくり込みすぎずにできた。これからも少し力を抜けばという自信になった」と話した。

　若山牧水については「やっぱり旅と酒。酒も水源まで訪ね、１人とか根源というところを極めた人。敬愛し後を追い掛けたい思いはある」と述べた。

　今回の賞は新型コロナのため昨秋の選考委員会はリモートで実施し、授賞式は延期され、例年開かれる記念講演は中止に。授賞式は規模を縮小し開かれ、河野知事から谷岡氏へ賞状などが手渡された。

　選考委員の伊藤一彦氏は選考経過を説明し、「今の世界に生きるとはどういうことか、現代短歌とは何かを教えてくれる歌人。いい歌集が多い年だったが、第２５回にふさわしい歌集を全員一致で選ぶことができた」と講評した。

　谷岡氏は１７日午前、延岡市の学校法人延岡学園尚学館高等部を訪問し講話。