「ひなたＷＯＭＡＮ」（５９）どんタロ（美郷町南郷）・那須祐子さん

保湿ジェルで地域活性化

　神門神社近くにある南郷温泉「山霧」。そのミネラル豊富な温泉水を主成分に作られた保湿ジェル「どんタロ」の生みの親。「完全無添加で肌に優しい」の評判は口コミで広がり、全国に愛用者を持つ。

　「『何かあったらどんタロ』と、この辺りでは一家に１本置いていただいています。お土産にしてくださる方も多いんですよ」

　役場ＯＢや福祉施設関係者、林業従事者ら有志でつくる「みさとの森林活性化協議会」の会長として、「香りビジネス」にも取り組む。クロモジやヒノキ、キンカンなどからアロマオイルを精製し、特産品開発に乗り出す。

　「どこに何があるかを知り尽くすお年寄りの力を借り、埋もれている宝を形にして地域の元気につなげたい」

　神門に生まれ、日向高―中央大理工学部卒。転機は父親がコンビニを開業することになり、「帰ってこないか」の一言。「１年ぐらいなら」とパン焼きを手伝っていたとき、祖母を通じて温泉化粧品の開発の話が舞い込んだ。

　「大学で学んだ応用化学の知識を、大好きなふるさとで生かせる。やってやろうと思いました」

　会社立ち上げから関わり、試行錯誤の末、「温泉水を塗る」という発想からの看板商品が誕生。２００８年のことだった。

　各地の温泉を巡り、利用客の「ここの湯はいいねー」などの会話に聞き耳を立てるのが癒やしの時間という。

　「どんタロはわが子も同然で、かわいくてしようがない。『売らせてほしい』の声をたびたび頂くのですが、私と同じ思いでなければ譲れないというのがスタンス。神門に来て買ってくださり、『ついでに温泉にも入ろうか』となるのが一番うれしいですね」