宮崎銀行杉田浩二頭取インタビュー（下）

就任から５カ月

◆変化するニーズ、課題に対応−ファーストコールバンクを目指す

−−県内経済の好材料や期待される要素はありますか。

新型コロナの感染拡大は、人口や企業などが都市圏に過度に集中するリスクを改めて浮き彫りにしました。これにより、地方への移住やサテライトオフィス開設、リモートワークが注目されています。
また、海外に広がったサプライチェーンの見直しを図る企業が国内回帰する場合は、立地や人件費などを考慮すると宮崎を含めた地方にチャンスがあると思います。
消費拡大の観点では、今月２０日に宮崎市内で宮崎駅西口の再開発事業の柱となる「アミュプラザみやざき・ＪＲ宮交ツインビル」が開業します。街全体が明るく活気づくとともに、地元での消費が活性化することを期待しています。
また、来年は「第３５回国民文化祭・みやざき２０２０」、２０２７年には「第８１回国民スポーツ大会」という全国規模の行事が予定されています。宮崎での消費や観光への波及効果が期待できるほか、国民スポーツ大会に向けては延岡市への体育館の建設をはじめ、陸上競技場、プールなどの主要施設を整備する計画があり、インフラ整備による地元経済の活性化も期待できます。

−−中期経営計画の取り組みをお聞かせください。

２０２０年３月に「みやぎんＳＤＧｓ宣言」を行いましたが、持続可能な地域社会の実現に向け、お客さまの社会貢献を応援するための商品を取りそろえています。
１８年に取り扱いを開始した「ＣＳＲ型私募債（Ｗｉｔｈ）」に加え、２０年度は「ＳＤＧｓ応援私募債（Ｗｉｔｈ未来）」「寄付型私募債『感謝とエールを込めて』」の２商品の取り扱いを開始しました。資金調達と同時に社会貢献活動にも取り組むことができる私募債は、信用力の向上など通常の借り入れにはないメリットもあり、多くのお客さまにご利用いただいています。
また、今年４月から新たな中期経営計画「ＷｉｔｈＹｏｕ（ウィズ・ユー）」をスタートさせました。タイトルを直訳すれば「あなたとともに」という意味で、地域・お客さまの成長、そして当行の成長をともに実現させていくという思いを込めています。
中期経営計画の基本方針の一つに「ＷｉｔｈＩｎｎｏｖａｔｉｏｎ（ウィズ・イノベーション）」を掲げていますが、将来の銀行の姿はパソコンやスマートフォンを相手にした取引が中心になっていくと思います。
当行ではサービス品質向上のため、銀行で取り扱う取引をインターネットやスマートフォンのアプリで可能にするほか、行内の業務についてもデジタル化のスピードを上げて効率化を図ることを目指しています。これらによりデジタルとリアルの融合を図りつつ、コンサルティング営業に一層注力できる体制を強化してまいります。
当行を取り巻く環境は大変厳しいものがありますが、変化し続けるお客さまのニーズや課題に即時・適切に対応し、地域やお客さまから信頼され、最初に声の掛かる「ファーストコールバンク」を目指して、全役職員一丸となってまい進してまいります。

【杉田浩二（すぎた・こうじ）氏】
九州大学経済学部卒。１９８１年４月に宮崎銀行入行し、営業統括部長、取締役経営企画部長兼収益管理室長、取締役本店営業部長兼江平支店長、常務取締役などを歴任。今年６月２５日から現職。県が掲げる「スポーツランドみやざき」の一員として、４８歳からフルマラソンを始め、青島太平洋マラソンに毎年出場。時間があれば「のんびり新聞を読みたい」。宮崎市出身。