下三輪町のアジサイが見頃

約３００メートルに３３０本−延岡

　延岡市下三輪町から沖田ダムに続く市道「青谷城（あおやぎ）線」に植えられたアジサイが見頃を迎えている。

　場所は、沖田ダムへの登り口付近の約３００メートル区間。もとは木や竹で覆われて茂みのようになっていたのを、近くに住む柳田三十四さん（８０）が整備し、「（草木を）切っただけではだめ。花を植えんと」と、約１０年前に植えた。

　きっかけは散歩の時に見つけた桜の花だった。ふと上を見上げた際、木や竹の隙間から、桜の花が顔を出しているのに気づいた。地域の人たちに聞くと市道ができた時に植えられたのではないかとのこと。「桜が見えるようにしたい」と整備を始めた。

　成長した木々に覆われて狭く、暗くなっていた道路を、雑草を刈り、余分な木や竹を伐採して見通しが良くなるようにした。最初は地域の人の協力を受けながら整備していたが、あまりにも重労働で簡単に終えられる作業ではなかった。しかし、「やり始めたからには」と主に１人でこつこつと作業を続けた。長靴の中がビチョビチョになるほど汗をかきつつも、ひと夏かけて整備を完了させた。

　その後、２年ほどかけて約３３０本のアジサイを植栽。成長したところで引き抜かれたり、イノシシの被害に遭ったりと苦労もあったが、時間を見つけては除草などの手入れに通う日々。そのかいあって、季節になると色とりどりの花を咲かせる。

　道沿いにある墓地の入り口まで植えており、秋には彼岸花も咲く。以前は暗く、「１人では怖くて来ることができなかった」という人から、「墓参りが楽しくなった」という喜びの声も届いているという。