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おうちdeタパス作りませんか(5)

本紙掲載日:2020-04-16
6面

コラボで生まれた延岡の美味

◆生産者・杉山国顕さん    ×料理人・甲斐ひろ子さん
(JA延岡たけのこ部会副会長) (旬房霧子乃里代表)

「竹の子寿司」


◆しゅうとめと地域に育てられた

「100歳になった時、『あそこに行ったら100歳のおばあちゃんが料理している』と言われるのが夢」と話すのは、「旬房霧子乃里」=延岡市北方町曽木=の甲斐ひろ子さん(71)。

 北川町上赤生まれ。延岡高校、北九州の短大を卒業後、延岡市の幼稚園教諭として40年勤めた。

 「人と接すること、話すことが好き。店をしたい」と定年退職から1年後、一足早く退職していた夫の真(まこと)さん、長女と3人で店を始めた。

 真さんは早期退職後に武蔵野美術大の通信課程で4年間学び、絵画に取り組んでいた。霧子山の麓にある店舗は、真さんがアトリエとして利用していた場所を改装したものだ。訪れた客は、自然豊かな景色を眺めながら地域の食材が使われた料理を堪能し、真さんの解説で絵を鑑賞した。「心が癒やされる」と喜ばれた。

 しかし、真さんは2012年に65歳で他界。東京から長男の真吾さん(42)が急きょ帰郷した。今では孫も加わり、親子孫3代とスタッフ数人で営む。「この歳(とし)で息子と一緒に働けているのは幸せ。励みになる」とほほ笑む。

 ランチを主に始めたが、現在は弁当や総菜が中心。竹の子寿司(ずし)も毎日作り、道の駅などで販売している。

 多くの注文が入る特注弁当は、内容を細かく記録し、同じ内容の弁当を続けて届けないよう工夫する。そのため、同じ日に作る弁当も届け先で内容が異なる。間に合わせるため、起床は深夜の午前1〜2時。仕込みを済ませた後、スタッフがそろう同3時から本格的に作り始める。

 結婚した頃は苦手だった料理。「料理上手だったしゅうとめと地域に育てられた」という。当時、冠婚葬祭などのたびに地区の女性部が公民館に集い、料理を作った。先輩たちを見て一緒に料理するうちに、自然と覚えた。

 また、長男の嫁という立場も料理の腕を上げる役に立った。何かあるたびに、親戚が家族で帰省する。近くに店はなく、自分で作る以外になかった。「私の人生勉強になった。教科書に載っていないようなことを教えてくれたのが、しゅうとめと地域の人たち」と振り返る。

 竹の子寿司は、地元の人が作ったものを食べた真吾さんから「お母さんも作れないか」と言われたのがきっかけで、8年ほど前から取り組んだ。最初は形が崩れるなどしたが、ホームセンターで見つけた押しずしの型からヒントを得た。

 酢飯に黒ごまを混ぜ、タケノコと酢飯の間に青じそを挟むことで、見た目と味にアクセントを加えた。試行錯誤して完成させた一品は、延岡市で2月にあった、市内料理人が地元食材を使って考案した小皿料理を競う「タパスグランプリ」でグランプリに輝いた。

 店では主に乾燥タケノコを使う。道の駅「北方よっちみろ屋」などで北方産を購入。なければ県北各地に足を運び、仕入れる。

 最低2日は水で戻し、味を染み込ませて完成するまでに全部で4日ほどかける。手間は要るが「北方に伝わる伝統の味。次の世代にも伝えていきたい」と使命感を抱く。

 作る人に対して「分量は目安で、自分に合う味にアレンジしてほしい。一度失敗しても諦めずに挑戦していくうちに、自分の味が出るんじゃないかと思う」とアドバイスを送った。

 北川町に住んでいた祖母も料理上手だったという。「自分で作りながら祖母の味を思い出す。食べに来た人には、料理を通して思い出に浸ってほしい」と甲斐さん。昔懐かしいおふくろの味を提供している


◆やりたかった仕事、生き生き

 空に向かって真っすぐに伸びる青々とした竹の間から、茶色の皮に包まれたタケノコが顔を出す。延岡市行縢町にある小高い丘。杉山国顕さん(70)=同市片田町=が育てる竹林だ。

 諸塚村で生まれ育った。中学卒業後、旭化成工科学院に進学するため15歳で延岡市へ。その後、旭化成の食品工場で働いた。

 40年ほど前、趣味で養蜂を始め、「好きなことをやりたい」と52歳で退職、本格的に農業を始めた。タケノコを作り始めたきっかけは、退職を考えていた頃、本紙で「放置竹林でタケノコ作りをしてみないか」という小さな囲み記事を見付けたことだったという。借りた土地で指導を受けながら、一つずつ学んだ。

 やりたかったことだったため、とにかく楽しかった。行縢町の竹林で作業すると、カエルや鳥の声が聞こえる。用水路の水の音も心地よく、「全部、俺のもんじゃと思った」と笑う。ふるさと諸塚村の風景や、農林業で生計を立てていた両親の姿とも重なった。

 竹林を下から見上げると、まるで段々畑のようだ。養分を多く含んだ土の流出防止や足場を良くするために、竹で仕切りを設けて管理している。自然が相手の仕事。晴れた日ばかりでなく、雨の日もある。また、機械はチェーンソーしか使わないため、作業は大変だ。仕切りの竹は親竹に引っ掛けて固定するため、どの位置の竹を残して親竹にするかを決めるのも重要だという。

 春に多く出回るタケノコだが、最初の出荷は12月末から始まる。地表に顔を出す前に収穫する早掘りタケノコは柔らかく、「金の筍」のブランド名で関東地方に向けて出荷される。その後、通常の生タケノコや乾燥タケノコなどの加工品が店に並ぶ。

 同時に行うのが親竹の仕立て作業。実は親竹も漁業用などに需要があり、年間500本ほどを出荷する。葉の色などで元気な竹を見極め、優秀な遺伝子を持った物を親竹に育てているという。

 JA延岡たけのこ部会で副会長を務める。昔から、早掘りタケノコは生産者が持ち寄って共同出荷している。以前は20〜30人集まっていたが、今では10人弱。「先細りになっている」と後継者がいないことに危機感を募らせている。「一緒にタケノコを作らないかと呼び掛けてみたい。もしかしたら俺みたいな人がいるかも」。今後は、仲間を増やし、後継者を育成することにも力を入れたい考えだ。

 乾燥タケノコは、1・5メートルほどの高さまで育てた竹で作る。「一般の人は大きくなった竹は食べられないと思っているが、先はものすごく柔らかい。あくが少なくて、あそこが一番おいしい」という。

 水で戻すのに時間がかかるため、「すぐに料理できるように」と、水で戻して真空パックにした商品も人気がある。

 独特の食感が特徴で、和食で用いるだしも染み込みやすいという乾燥タケノコを「気軽に使ってほしい」と話した。

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