全国初、事業継承サイト「リレイ」

宮崎市出身齋藤さんが設立

　「前向きな事業承継の文化を宮崎でつくり、全国へ発信していきたい」―。宮崎市で地域クラウドファンディング企業などを立ち上げてきた齋藤隆太さんが、事業承継を支援するマッチングプラットフォーム「ｒｅｌａｙ（リレイ）」の運営会社を設立した。事業承継情報を公開するサイトは全国初という。県庁でこのほど会見した。

　齋藤さんは宮崎市出身の３５歳。２０１２年に宮崎発の地域クラウドファンディング企業「ＦＡＡＶＯ」を企画、立ち上げ。地域活性化を目指す事業の資金調達法として注目を集め、現在は事業譲渡先の「ＣＡＭＰＦＩＲＥ」が日本最大の資金調達プラットフォームとなっている。

　齋藤さんによると、廃業する中小企業の半数以上は黒字経営で後継者がいないことや、事業の将来性などを理由に廃業を決意している。

　そこで、国でも事業承継を円滑に行うための税制改革が進むなど、「第三者承継」への機運が高まっているという。

　現在でも地方銀行などが運営する「事業引き継ぎセンター」などが事業承継のサポートを実施。だが、特に地方では、第三者承継になじみが薄いことなどからまだ広がりを見せていない。

　齋藤さんが運営会社「ライトライト」で目指すのは、「後継者がいない中小企業・店舗と、宮崎への思いがある都会の出身者」のマッチング。「事業への思いを知った上でＵターン。事業に新しい発想を加えた経営者へ」というサポートを行いたいという。

　現在、中小企業経営者の高齢化は進んでおり、民間のデータで２５年には、２０万人以上が７０歳以上に。同社では２５年をターゲットに今春、サイトを本格オープン。今年中に、１００件の記事を掲載し、１０件の承継を実現させたいと目標を立てている。

　齋藤さんは「宮崎から事業承継の文化を創りたい。そのために、後継者に望む事業主の思いをくみ取った記事や写真を掲載していきたい」。

　会見には、事業承継情報の第１号として、宮崎市中央通の飲食店「ＣＯＮＥＲ」の承継者を探す一平ホールディングス（宮崎市）の村岡浩司社長も同席。「特に地方では閉店や事業承継は『つぶれた』とネガティブに捉えがち。ｒｅｌａｙを活用すれば現在の顧客に思いを正しく伝えることができ、一番街へ対する思いなど理想とする次のオーナーを選べるのではと期待している」と話していた。