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おうちdeタパス作りませんか(1)

本紙掲載日:2020-03-10
6面

コラボで生まれた延岡の美味

◆料理人・甲斐聖良さん×生産者・斧康弘さん

「冬野菜のお好み風パンケーキ」


 「タパス」をご存じだろうか。スペインの居酒屋「バル」では欠かせない、おつまみ的な手軽な小皿料理のことだ。延岡市の駅前複合施設エンクロスで月に1回開かれる本格タパス料理教室「おうちdeタパス」は、毎回すぐに予約が埋まる人気企画。市内の生産者が作った地元の食材を使い、プロの料理人が考案した家庭で作れるレシピが参加者を引き付けている。食材の生産者、レシピを考案した料理人に、仕事への思い、「タパス」に込めた思いなどを聞いた。レシピと共に紹介する。
(随時掲載)

 延岡市は、2016年5月から佐伯市と共に「食」を切り口にした観光の産業化、人の流れの創出を目指す「東九州バスク化構想」に取り組んでいる。同年8月には同構想延岡推進協議会を設立。翌年、「料理人部会」「生産者部会」をそれぞれ立ち上げ、双方が連携して地元の食材を使った新メニューの開発、イベントでの提供などを行ってきた。

 先月初旬には、地元食材を使った自慢の一品を500円で提供する店をはしごして楽しむ「第4回のべおかタパス食べ歩き」を開催。

 「おうちdeタパス」は、料理人と生産者の連携促進、地産地活の推進、食のまちづくりの機運醸成などを目的に、18年10月から実施している。

(レシピと料理の写真は、東九州バスク化構想延岡推進協議会提供)


◆私たちは食べた物でできている

 南国の雰囲気が漂うおしゃれな外装。ハワイとフラダンスが大好きな甲斐聖良さん(36)がオーナーを務める、ハワイアンカフェ「WIKIWIKI」だ。

 店は2階建て。2階には、おもちゃや滑り台などを置いた、子ども連れでもゆっくりとくつろげるファミリースペースを設けている。甲斐さんのこだわりだ。

 以前住んでいた沖縄県では、カフェや居酒屋に当たり前のようにキッズスペースがあり、どこにでも子どもを連れて出掛けることができた。しかし延岡に戻ると、子どもを連れて行く場所がないことにびっくり。子どもに「延岡って遊ぶとこないと?」と聞かれ、「ママがつくるわ」と言ったのがきっかけになったという。

 オープンから今年8月で7周年を迎えるが、ファミリースペースのある飲食店はまだ県北では珍しく、予約で埋まることが多いという。また、夜にはカフェがスタジオに変身。大好きなフラダンスを教えている。

 両親がオーガニック食品などを取り扱う健康食品会社に勤めていた関係で、幼い頃から自然食品の素晴らしさを教わってきた。「私たちは食べた物でできている」と、食へのこだわりは強い。店で出す食材にもこだわっており、サラダバーで提供する野菜は、地元で取れた旬の食材を直売所などで購入する。店の敷地内の畑で育てたニンニク、レタスなどが料理に登場することも多い。

 また、「大人になった時に、健康に気を付け、食べていくことに困らない子どもたちを育てたい」と、子ども料理教室の開設を志し、都城市まで半年ほど通ってノウハウを勉強。カフェ内に設けたスタジオで、昨年から教えている。教室名の「KONIKONI」は、ハワイ語でドキドキの意味。畑で収穫した取れたて野菜の調理などを通して「食べることは生きること」と伝えている。

 もともと斧農園が有機肥料で育てた野菜が好きで「斧さんの野菜を使いたい」と相談。冬が旬の白菜を食材に選んだ。季節に合わせ、温かいお好み焼き風のパンケーキに仕上げた。

 レシピを考える中で、子どもも一緒に作ることを想定。混ぜ過ぎてもふっくらと焼き上がるように米粉にした。「おうちdeタパス」料理教室では、祝子農園が有機栽培で作った米粉を使用した。「みんなで作って、楽しい、子ども料理教室のイメージでレシピを考えた」と甲斐さん。「みんなでわいわい作ってほしい」とにっこり。


◆質にこだわった野菜味わって

 山あいの細い道を走ると、小さな集落が目に飛び込んでくる。サラサラと曽木川から水音が聞こえる。段々畑で大根、白菜、春菊、キャベツ、原木シイタケなど、季節の野菜を育てているのが斧農園の斧康弘さん(49)だ。

 高校卒業後、県外の企業に勤めた。就農のきっかけは、ふるさとで野菜作りに励む母親だった。帰省するたびに「(作った野菜を)おいしいって言われた」「喜んでもらえた」と楽しそうに話す母親の姿に「買ってもらった上に感謝されるなんて魅力的ではないか」と感じた。「せっかく必要とされているのに後を継ぐ人もいない。それなら自分が」と36歳で会社を辞め、地元に戻って農業を継いだ。

 作った野菜は「道の駅北方よっちみろ屋」など直売所での販売がほとんどだ。段々畑では、規模拡大は難しい。それに加え、「質にこだわった農業を」と有機肥料で作物を育てているため、通常の物に比べると成長は遅く、大きさもふぞろいになる。自分たちで値段を決めることができる直売所で販売するのはそのためだ。こだわって作った野菜が売れ、認めてもらうことで、やりがいにつながっているという。現在、市内7カ所の直売所に置いて販売している。お客さんから直接声が届くことも多く、勉強になっているという。

 東九州バスク化構想延岡推進協議会で生産者部会長を務める。構想がきっかけで、以前はほとんどなかった料理人とのつながりができ、直接商談する機会も増えたという。

 また、農産、畜産、水産と、今までは別々の組織で動いてきた人たちと交流する機会ができた。1次産業はどこも後継者が少なく、厳しい状況にあるが、「仕事としてやっていくにはやりがいが必要」との思いは強い。

 「いい物を作ってお客さんに認めてもらい、売りたい価格で買ってもらい、リピーターが増えることでやりがいを感じる。そのためには飲食店などで素材を使ってもらい、プロに認めてもらうことで、自信、やる気につながるのではないか」。料理人と共同で取り組むことで「延岡市全体の1次産業の品質がレベルアップすると思う」と、夢が膨らむ。

 甲斐聖良さんが考案した白菜を使ったパンケーキについて「こちらが考えつかないような料理を料理人は考えてくれる。ありがたい」と喜んだ。「子どもに食べてほしい。有機肥料で作った野菜は味がしっかりしている物が多い。安心な食を届けようとしている生産者が延岡にはたくさんいる。地元の安全な食材、有機肥料で作った野菜の味を知ってもらいたい」と話した。


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