本紙掲載日:2023-07-31
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傍聴席、満員の中で可決

31日開かれた延岡市議会臨時会。懸案の2事業は賛成多数で可決された

空飛ぶクルマ/災害に強いネットワーク構築

◆31日、延岡市議会臨時会−市長「突貫工事で取り組む」

 延岡市議会は31日、臨時会を開き、「『空飛ぶクルマ』も見据えた新たな救急搬送体制づくり事業」(1億180万円)と「平常時・災害時共通災害に強い地方創生ネットワーク構築事業」(1億9943万円)の2023年度一般会計補正予算案1件を原案通り可決し(議長を除く26議員中、賛成16)、閉会した。両事業は6月定例会以降、2度否決された後の可決となった。可決後の一般会計の予算額は686億7830万円となった。

 2事業をめぐっては、6月議会中に市議会予算審査特別委員会が調査などの必要性を理由として、いったん補正予算から切り離して9月議会まで継続審査とすること(組み替え動議)を決定。読谷山洋司市長がその場で動議を拒否したため、委員会が両事業を6月補正案から削除し、7日の最終本会議で減額修正した補正予算案を可決した。

 読谷山市長は審議をやり直す再議を求めて11日に臨時会を招集したが、結局、2事業を戻した当初案も否決され、補正予算が白紙化。ただ、6月補正は緊急性の高い物価高騰対策が半数以上を占めるため、市長が改めて14日の臨時会で2事業を除いた補正予算を提案し、可決された経緯がある。

 それでも読谷山市長は、「今年度予定していた事業が年度内に実施できない場合は、来年度以降の交付金を計画通り獲得できなくなる恐れがある」「建設工事のような繰り越し手続きが取れないため、年度内に実施できない事業はそもそも着手すること自体が難しい」と、今月中の予算成立を目指し、議会との間で早期の臨時会招集を調整していた。

 両事業については当初から大半の議員に理解は得られていたものの、「はっきりしない部分も多い」などの理由で、6月定例会での可決をめぐって賛否が二分。各種報道なども通して市民の間でも議論が熱を帯び、支持者らと意見交換の場を持って再考した議員もおり、31日の議決に注目が集まっていた。

 採決前の討論に立った議員のうち、宮田博徳議員(立憲民主党市議団)は支持者からは反対意見の方が多かったものの、2事業が国の交付金事業で救急体制整備こそが重要と判断し、「市長と議会の対立が深まることが心配」との意見も聞いて、賛成の立場に変えたことを説明した。

 議場の傍聴席は満員となり、議場に入りきれなかった大勢の市民が別室でモニター中継を視聴。可決後には議場から通路に出てきた読谷山市長を囲み、歓声や万歳の声を響かせる支持者も多くいた。

 今回の可決を受け読谷山市長は「市民の多くの皆さまの声が議会を動かしたのではないか。(事業開始が遅れ)予定したよりも時間が短くなった。これから突貫工事で取り組まなければならず、大変身の引き締まる思いだ」と述べた。

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