本紙掲載日:2023-05-19
(3面)

資源循環事業で連携協定締結

農業資源を活用した資源循環事業に関する連携協定の締結式(県庁)

県と総合商社の双日

◆成長早い植物を栽培−燃料や飼料に活用

 県と総合商社大手の双日(東京都)はこのほど、農業資源を活用した資源循環事業に関する連携協定を結んだ。県内で栽培した成長の早い植物でバイオマス燃料や家畜用飼料を生産するなど、資源循環の仕組みの構築を実証。燃油や飼料価格が高騰する中、海外資源に過度に依存しない持続可能な農業の実現を目指す。

 県と双日によると、県内の遊休農地などを活用して、植林後5年間で1ヘクタール当たり約200立方メートル以上の成長量が期待できるハコヤナギや、成長力の強い品種は種まきから4カ月で5メートルを超えるまで成長し、年2回の収穫も可能とされるイネ科植物のソルガムを栽培。

 収穫後はバイオマスボイラーの燃料に使用するペレットの原料や家畜用飼料に加工し、その後に畜産農家などから出てくる堆肥(牛ふん、鶏ふん)や肥料(燃料灰)は再び農地で活用するなど、持続可能な農業に向けた資源循環の仕組みづくりに挑むという。

 連携体制として、県は農業資源の生産地となる遊休農地の情報提供や製品の普及性等の評価などを実施。双日は県内での農業資源の生産や加工技術の実証とマニュアル化、製品の活用方法の検討・実証、商業化に向けた事業性の評価などを行うこととしている。

 双日は昨年5月、わせ樹事業の一環として、川南町と「農業振興を核とした地域創生に関する協定」を結び、町内でハコヤナギの試験植林を開始。今月には遊休農地や未利用期間の農地を活用して、ハコヤナギに加え、新たにソルガムの試験生産を予定している。

 締結式は、県庁であり、永山寛理副知事と同社の尾藤雅彰取締役専務が協定書に署名した。永山副知事は「国のモデルとなるような持続可能な仕組みづくりにしっかり取り組みたい」、尾藤取締役専務は「社会課題の解決に向け、総合商社として持てる力をすべて動員して事業の成功に懸けていきたい」と決意を述べた。

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