延岡市で多発「保険料払い戻します」

注意！還付金詐欺の電話

　市役所の職員を名乗り、「保険料を納め過ぎているので払い戻します」などとＡＴＭ（現金自動預払機）に向かわせようとする不審な電話が、１６日から延岡市内の民家に相次いでかかってきている。典型的な「還付金詐欺」の手口だが、県内では昨年末から被害が続発しており、県警などは「相手にせず、すぐに電話を切ってください」と呼び掛けている。

　犯人側は「国民健康保険課」や「介護年金課」「介護課」の職員と称して、しっかりと名前も名乗った上で、納め過ぎているという保険料の具体的な金額を説明してくる。

　この際に、「以前に案内を送っていますが届いていませんか」「何度かご連絡したのですが」などと、あたかも通知済みであるのよう偽装。「期限を過ぎていますが、本日中にお手続きすれば間に合いますので安心してください」と電話を切らせないように仕向け、還付金の振込先として「口座はありますか」「取引銀行はどちらですか」と尋ねてくるという。

　その後に、払い戻しを委託されたとする金融機関の職員をかたる別の人物が電話をしてきて、「そちらからでしたら○○のＡＴＭが一番近いので着いたらご連絡ください」と場所を指定して誘導。再び連絡して相手の指示通りにＡＴＭを操作すると、自分の預金が犯人側の口座へ送金されるからくりとなっている。

　ＡＴＭ操作で犯人は犯行に気付かれにくくするため、画面を英文表示に切り替えさせるなど工作。「あなたの整理番号をお伝えしますので、間違えないように押してください」などと、だまし取る金額の数字を入力させるのが手口だという。

　こうした不審電話に関する相談は、新型コロナウイルス感染拡大の第６波に伴い再び外出自粛の傾向が強まった昨年１２月から急増。注意の呼び掛けが続く中で被害も後を絶たない。

　延岡市内でも１２月に少なくとも３件の被害を確認。消費生活相談を担う市男女共同参画推進室によると、県内の被害状況には共通点があり、いずれも６５歳以上の女性で、ＡＴＭ取扱限度額の５０万円に近い被害額だという。

　同推進室は「市役所や銀行の職員がＡＴＭを操作するように連絡することは絶対にありません」と、改めて強調。「どんなに自分はだまされないと思っていても信じ込まされてしまうのが特殊詐欺」だとして、「在宅中でも常に留守番電話にしたり、迷惑電話機能を活用してほしい」と訴えている。

　県警本部の生活安全企画課は１８日、還付金詐欺とみられる不審電話に関する相談は、今年に入って９８件寄せられていると発表した。１カ月間余りですでに昨年１年間の５５件を大幅に上回っており、警戒を求めている。