第２２回若山牧水青春短歌大賞・入賞作品

■優秀賞

◆小学生部門

茨城県桜川市・谷貝小４年・中原侑士・
算数はトランプみたいだから好き何でもなれるジョーカーが好き。

宮崎市・宮崎大学教育学部付属小１年・木下莉好・
いちりんしゃきびしくおしえるおかあさんいちりんしゃにはのれないのにな。

延岡市・東海小３年・島田巳千流・
きゅう食は食べる前からおいしそう東海小からいいにおいがする。

◆中学生部門

東京都稲城市・稲城第三中３年・佐々木優花・
はなれてもいまでも思うあの場面ずっと葉のないプラタナスの木。

東京都文京区・筑波大学付属中２年・中山美和子・
授業中に寝た私はもう一人前マスクの下でにんまり笑う。

長野県伊那市・西箕輪中２年・赤羽桃奈・
青春は複数人でなくていい一人でいても別にいいだろ。

◆高校生部門

東京都渋谷区・渋谷教育学園渋谷高３年・岡奎那・
お互いの眼鏡よけつつキスをする化石にしたいほどに夏空。

宮崎市・佐土原高２年・池上晃望・
消火栓の取っ手の裏に色あせたプリクラあって誰かの青春。

延岡市・延岡工業高３年・古田萌・
技能士の銀のバッチを貰うため今年の夏ははんだ付け漬け。

◆大学生等及び一般部門

奈良県北葛城郡・広陵町・２０歳・今紺しだ・
ふんわりと笑ったままで聴き役に徹する友よ着ぐるみを脱げ。

鳥取県米子市・２３歳・原野美優・
ブラックが飲めない君の人生にミルクを注ぐような朝です。

美郷町・８０歳・末永タカ子・
あなたには逢えないけれど合歓の花見上げた土手の橋まで歩く。

■審査員特別賞

◆早稲田大学賞

【坪内稔典選】
延岡市・延岡小１年・谷口れい・
ながれてるそうめんまだまだとりたいなおわんもおなかもいっぱいだけど。

【永田和宏選】
山口県下関市・下関西高２年・太田麻衣花・
いつもより少し静かな母の手に握られている私のテスト。

【永田紅選】
川南町・国光原中２年・野添晴仁・
帰り道無邪気に笑ふ横顔に二秒見とれて三秒思ふ。

◆九州保健福祉大学賞

【坪内稔典選】
宮崎市・宮崎西高付属中３年・岡田晃尚・
君を想う僕の心は「かくとだに」言わないけれど気づいてほしいな。

【永田和宏選】
福島県福島市・福島第一中２年・柴田結月・
先輩に「今日からお前が、部長だぞ。」握手した手に鍵が光った。

【永田紅選】
岩手県二戸市・金田一中２年・中野陽・
最終日廊下の角で泣く君よまつり縫いでもほつれた恋は。

◆延岡高等学校同窓会賞

【坪内稔典選】
延岡市・東海小５年・川村奏翔・
夏休み家でゴロゴロしてたけどはまりはじめたジグソーパズル。

【永田和宏選】
岡山県岡山市・岡山大学教育学部付属中２年・鈴木舞衣・
眼の検査「あいているのはどこですか」「まんなか」といういもうと五歳。

【永田紅選】
兵庫県赤穂郡上郡町・兵庫県立大学付属高２年・宗實杏寿加・
約束がなくても君に会えていたあの教室は西向きだった。

◆若山牧水延岡顕彰会賞

【坪内稔典選】
山口県周南市・太華中３年・藤井琴子・
校庭の引いたばかりの白線を突っ切って行くあの銀やんま。

【永田和宏選】
三股町・６７歳・土井恵子・
ときめきは疾うに失せたる夫なれど今逝かれたら泣くだろたぶん。

【永田紅選】
東京都墨田区・二松学舎大２年・金澤春栞・
吸引力ばっかりすごい掃除機は馬鹿正直で私みたいだ。