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寄り添い絆づくりを

本紙掲載日:2021-11-29
1面
延岡市自殺対策協議会(市役所)

懸念材料の共有へ−延岡市自殺対策協議会

◆コロナ影響・精神面不調訴える学生も

 延岡市自殺対策協議会(会長・甲斐俊二健康福祉部長)が26日、市役所であり、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛生活の影響など、自殺につながるような懸念材料について意識を共有し、各機関の対策を報告した。

 はじめに、県内の昨年度の自殺者は217人(男性143人、女性74人)で前年から27人増え、このうち女性は26人増加したと報告。人口10万人当たりの自殺死亡率も2・7人増の20・5人と、全国で2番目、九州で最も高くなり、最多だった2007年と同水準まで悪化したことが示された。

 年代別では40歳未満の若い世代で自殺者が増加。10〜30代の死因は病気や事故を上回って自殺が1位、40代も2位と高く、女性の自殺が増えたことも含めて前年までとは一線を画す状況となった。

 一方で延岡市の自殺者は18人(男性11人、女性7人)で3人減少。市町村別の自殺死亡率も川南町に次いで2番目に低く、改善傾向にあることが伝えられた。

 九州保健福祉大学の委員は、大学の講義が新型コロナのため昨年は4月が全休、5月はオンライン、6月から対面になり、夏休みがなかったことを報告。

 その結果、疲れやだるさ、朝に起きられない、講義に出席したくないといった精神面の不調を訴える学生が急増し、「特別な一年だった」と振り返った。

 県立延岡病院は自殺未遂で救急搬送された患者を早期に精神科専門医心療へつなぎ、地域医療では保健所と連携して、精神疾患で悩んでいる人に精神科認定看護師が寄り添う体制を導入。だが、委員は、市内に認定看護師が不足しているため十分には対応し切れていない現状を語った。

 市健康増進課は自殺の未然防止をさらに進めるため、周囲の人の悩み事などに耳を傾ける「ゲートキーパー」の養成講座を広く実施していきたいと説明。

 1回20人前後を目安に10人程度からでも受け付けるとして、特に若い世代や有識者、高齢者に受けてほしいと、各機関に協力を求めた。

 最後に吉田病院の吉田建世理事長は「新型コロナで電話での相談が増えているが、一番いいのは対面で寄り添うこと。今後いかに変えていくかが対策の一番大切な部分ではないか」と、絆づくりの重要性を訴えた。

 同協議会は市の対策を総合的に推進することを目的に、自殺対策基本法に基づき昨年発足。県を含む市内の行政や医療、保健、福祉、教育、農商工など19機関の代表21人が委員を務め、自殺の実態把握や防止知識の普及啓発、情報交換・連携などに関して協議し、地域の実情に応じた自殺対策を推進している。

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