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ココカラSDGs−第8回「宮崎のジェンダー平等×SDGs」(下)

本紙掲載日:2021-11-25
6面


▽一人一人の価値観、声に上げやすい社会に―税田倫さん
▽世間の価値観と本人の幸せ、ギャップが苦しさに―清水さん
▽お茶くみ文化、まだまだ残る宮崎県―竹原さん
▽男性ですが、レディースランチちょうどいい―税田和さん

−−「女性活躍推進」という言葉に違和感を感じる人もいるのではないでしょうか。

〈難波〉私はジェンダー平等などに取り組んでいる一人ですが、それでも「女性活躍推進」という言葉には昔から違和感を感じています。女性活躍って何だろう。生産性だけを見て推進するのは何か違うのではないか。「誰もが」ではなく女性だけの活躍を指しているところにも違和感を感じます。また、お茶くみをあえて男性がしている姿を見るとモヤモヤします。

〈清水〉「女性の活躍推進」というワードが付いた推進会議の企画委員として倫子さん、竹原さん、私は一緒に活動しています。実は、推進会議の中でも設立当初から「女性の活躍推進」というワードに対して、少し違和感を感じながら取り組んできました。
現在、活動6年目に入りましたが、女性だけが活躍することを推進するのではなく、男性の活躍も踏まえたジェンダーの平等、ジェンダーギャップの解消にステージを変えていかなければいけないのではないか、とメンバーで議論しているところです。女性の活躍だけを推進しても変えられるところは限られています。活躍とは何か、何をもって活躍と言えるのか、ということも複雑で難しい問題だと思っています。

−−宮崎県の現状を表す事例があれば教えてください。

〈竹原〉「宮崎県はまだまだ女性のお茶くみ文化が残っているよね」と言われたことがあります。その通りで、推進会議としては、男性の活躍推進も大切ですが、ひとまず女性に目を向けようということで、今年度新たに「みやざき女性リーダー育成塾」を企画するなど取り組んでいます。
宮崎県は負の連鎖に陥ろうとしています。私は30代半ばですが、私くらいの年齢になると女性はパートに切り替える。その傾向が宮崎県はとても顕著に表れています。この世代でパートに切り替えてしまうと生涯年収は大幅に減ります。また、これからいろいろな働き方や選択肢がある中で、離婚して一人親になる女性が増加すると予測されています。女性は子どもを育てながらパートで働き、なおかつ年収も少なくなることから、宮崎県では女性の貧困がとても多くなるだろうという予測もされています。推進会議としては、とにかく女性が自立をしなければジェンダー平等は成り立たないと考え、今は女性にフォーカスを当てています。

〈難波〉負の連鎖をどこかで食い止めないと、どんどん悪い方向に進んでしまいます。まずは今、ギャップがあるところを埋める。そこから公平や公正へステップアップしていって、女性も男性も誰もが同じ土俵に立てるようにする。そこからがスタートです。

〈清水〉日本は平等に働いたり生きたりするための法制度が整っています。しかし、育児休業は女性が取る割合の方が圧倒的に高い。男性も取ることができますが、職場の雰囲気や一人一人の意識が醸成されていないことが大きなハードルになっていると思います。
また、男性が育児休業を取ると「男性なのに育休を取って偉いね」「男性に育休を取らせてパートナーは何をしているんだ」と思われる人も少なからずいます。そういう意識を丁寧に丁寧に変えていかなければいけないと思っています。

〈難波〉私もジェンダー平等と言いながら、ハッとする時があります。例えば、自分の息子が熱を出した時に夫ではなく、母親である私が世話をすべきだと思ってしまったり、息子に「彼氏ができた」と言われたら私はどう思うのか、と考えたりします。当たり前に受け入れられないアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を持っていることに苦しさを感じることがあります。

−−アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)について、どうお考えですか。

〈税田倫〉難波さんと同じようなことを私も考えることがあります。でも、最後の最後に思うのは、自分の幸せは何かを本人がきちんと知る。これは自分の子どもたちに伝える中でいつも大事にしていることです。持っている幸せをきちんと感じられる子どもに育てたいと思っています。
世の中にはさまざまな価値観があって、いろいろな環境があります。例えば、私が社会に出た時代は給料に男女差があって当たり前でした。その時代を知っている私たちからしたら、横並びで入ってきている今の20代の人たちと価値観が違うのかもしれません。さらに、私たちよりも上の世代の人たちはまた違う価値観を大切に生きてきた。その価値観が現代につながっていることも、私たちは理解していかなければならないと思います。

〈清水〉さきほど難波さんが言われた苦しさについてですが、この苦しさが芽生えたのは、「子どもの体調が悪いのにどうして母親が世話をしてあげないのか」という第三者の価値観と、「母親だから私がしないといけないのだろうか」という自分の価値観にギャップがあるからだと思います。同性間の恋愛に対しても、子どもが幸せならばそれでいい。しかし、世間から後ろ指を指されるのではないかといった親としての心配から苦しさが生まれてくる。つまり、世間の価値観と本人の幸せのギャップが苦しさにつながっているのではないでしょうか。

〈税田倫〉一人一人の価値観や思っていることを、声に上げやすい社会に近づけていけたらすてきだと思います。

〈竹原〉ジェンダー平等を知って苦しかったことは、自分の両親のことを否定はできないけれども、違和感を感じたときに、それをどう伝えたらいいのだろうかと。少し前までは戦わなくてはいけないと思っていて「今の社会は違うんだよ」と言い返していた時期もありました。でも、昨年11月に当時の兵庫県豊岡市長・中貝宗治さんの講演を聞いて「その時代その時代を強い気持ちで生きてきたそれぞれの世代の人たちの価値観を、いちいち否定しなくてもいい」と知って、少し気持ちが楽になりました。

−−次世代を担う子どもたちは、ジェンダー平等をどのように捉えているのでしょうか。

〈清水〉ジェンダーのギャップは解消されてきたと捉える人もいますが、まだまだ残っていると実感します。私が担当している宮崎大学1年生の講義で「皆さんの周りにはどのようなジェンダーがあると思いますか」と問い掛けました。すると「女は泣いてもいいけど、男が泣くと『え、まじ?泣いたの?』となる」「女性が料理をできないとなんとなくおかしいという雰囲気がある」などの回答が出されました。昔から言われてきたようなことが今の10、20代の学生たちも社会の雰囲気として感じていることが分かります。
また、仕事に関して医学部のある女子学生は、母親からそれとなく「楽そうだから」という理由で皮膚科の医師になることを勧められたそうです。母親に悪気はないと思いますが「そんなふうに思われるのは少し残念だ」という意見や、「本当は働きたかった母親が父親に働かないように言われて我慢してきた姿を見てきた」という学生もいました。子どもたちは親の姿を見て、社会にまだまだ残っているジェンダーを感じながら、受け継ぎたくない感覚が受け継がれているのだと思います。

〈難波〉レディースデーやレディースランチという言葉も疑問に思っています。日々の生活の中で、無意識にジェンダーを生み出しているように感じます。

〈税田和〉私は男性ですが、あまりたくさん食べられないので、レディースランチがちょうどいいと思うことがあります。また、自分の子どもたちには「男だから」「女だから」といった意識をさせないように、普段から自分なりに言葉掛けをしています。

〈清水〉子どもたちは、保護者や学校の先生といった身近な大人の考えや価値観に影響を受けます。特に家庭での言葉掛けはとても大きいですね。学生へのアンケート結果をもう一つ紹介します。
「いわゆる社会的文化的性差のジェンダーは自分の価値を低く見積もってしまう悪い文化だと思う」と書いてくれた学生がいました。ジェンダーが自分の可能性を狭めてしまうことに気付いてくれてうれしかったです。ジェンダーに気付くことで苦しいこともあるかもしれませんが、自分の可能性を広げることを大切にしてほしい。また、SDGsの5番目の目標「ジェンダー平等を実現しよう」を達成することは、他の目標にもとても良い影響を与えると思います。
また、宮崎大学は12月2日午後1時から第4回宮崎国際シンポジウムを開催します。テーマは「COVID―19(新型コロナウイルス感染症)がもたらした変化〜SDGsの達成にどう活(い)かせるか〜」。参加無料でオンライン、英語(通訳なし)での開催です。詳細は宮崎大学のホームページでご確認ください。

〈難波〉学生が気付けた窮屈感や価値観が、自分の可能性を狭めてしまっている。これは自分だけではなく、いろいろな社会の可能性を狭めてしまっているように思います。10年後、100年後、1000年後に幸せだと思うことができるような、可能性を広げられる未来をつくっていくには、とても時間がかかります。今から取り組まないといけないことです。(おわり)

【第8回の出演者】
〈ゲスト〉グローバル・クリーン(日向市)の社長・税田和久さんと専務・税田倫子さん、宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室の副室長・清水鈴代さん、TNAソリューションデザイン(宮崎市)の専務・竹原沙織さん
〈アドバイザー〉SDGsコミュニケーター難波裕扶子さん(日向市)
〈ナビゲーター〉松田祐子さん(FMのべおか)

■第8回の再放送■
25日午後8時、28日午前11時からの2回


■第9回の内容■
〈テーマ〉2022年×SDGs
〈放送日〉12月16日午後1時から
〈再放送〉12月23日午後8時から、同26日午前11時からの2回


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