【お知らせとおことわり】

 夕刊デイリー新聞ならびにYUKAN-DAILY-WEBを
ご利用いただきありがとうございます。

 著作権保護のためWEBブラウザ上からの記事・写真の
ダイレクトプリントができないようになっております。
ご了承下さい。

 サイト内の写真は本紙に掲載されたものですが
本紙掲載分の写真については以下のような規定があります。


 夕刊デイリー新聞社は、本紙に掲載された写真の提供サービス(有料)をしています。

 スポーツで活躍した場面の写真、ステージでの発表会、さまざまな行事で新聞に掲載された写真をご家族の記念に保存されてはいかがですか?

 写真は本紙記者がデジタルカメラで撮影したもので、新聞紙上では白黒でも提供写真はカラープリントです。

写真のサイズと料金は次の通りです。

▽L  サイズ 1枚 300円
▽LL サイズ 1枚 500円
▽A4 サイズ 1枚 1,200円
(A4サイズはラミネート加工もできます。ラミネート加工は500円追加)


L  サイズ
(8.9×12.7センチ)
1枚 300円
LL サイズ
(12.7×17.8センチ)
1枚 500円
A4 サイズ
(21×29.8センチ)
1枚 1,200円
(ラミネート加工は300円追加)

 提供できない写真もありますので、まず、本社にお電話をください。
 掲載日などをお聞きし写真を確認した上で準備します。

 受け渡しは、本社または支社、支局に来社していただくことになります。
 写真によっては提供サイズが限られる場合があります。
 また、事件、事故、災害、選挙、肖像権に関係する写真や本社に版権のない写真は提供できませんのでご了承ください。

 写真は個人的利用に限ります。 印刷物などに用いることはできません。

 写真提供サービス開始とともに、これまでの貸し出しサービスは終了します。


 お問い合わせ、お申し込みは
 本社(電話番号 0982-34・5000、平日は午前9時−午後5時、土曜は午前9時−午後3時)へお願いします。

 

ココカラSDGs−第7回「アートとスポーツのチカラ×SDGs」(下)

本紙掲載日:2021-10-28
6面

▽柔道通し、強くなるほど人に優しく―中村さん
▽「ありがとう」「すごいね」飛び交う着ぐるみ工場―加納さん

−−ここからは、中村さんに幼少期からオリンピアン、指導者になるまでのエピソードをお聞きします。

〈中村〉男3兄弟で育ち、顔を合わせればいつもけんか。山や川、空き地などに遊びに行ってはけがをして帰ってくる。ボール遊びをしては近所の家の窓を割って親と一緒に謝りに行く。そんな、やんちゃな幼少期でした。
両親は福岡市内で青果店を営んでおり、朝早くから夜遅くまで働いていたため家族団らんの時間は少なかったように感じます。ある意味、家の中は無法地帯でした。そんな環境を変えたのが柔道でした。
近所の少年柔道教室を見学した時、柔道着を着て相手を投げ飛ばす姿に「かっこいい」と感じ、「俺も強くなりたい」と柔道を始めました。
中学生、高校生の時には目標が明確になり、全国中学校大会やインターハイで結果を残すために、朝から晩までひたすら練習をこなしました。中学生の時に兄から「うちにはお金がないから柔道で特待生になって高校に行くしかない」と言われたのを覚えています。そのため、なぜ結果を残さないといけないのか、という答えも明確でした。
兄は親の役目をしてくれていました。柔道をやめようと落ち込んだ時期には、兄と弟の頑張っている姿が励みにもなりました。指導してくれた先生たちには練習後に食事に連れて行ってもらったり、柔道には欠かせない礼法なども指導してもらったり、厳しいながらも愛情を持って接していただきました。今思えば、いろいろな先生に恵まれ支えられてきました。感謝しています。

〈難波〉出会いはその人自身が引っ張ってくる、頑張っているからこそ、ご縁が近づいてくると感じています。中村さんの人柄や頑張りが人との出会いを引っ張ってきたのですね。

〈中村〉保護者の皆さんも、私たち兄弟をわが子のように送迎してくれました。私の親が時間がないことを分かっていたからこその優しさだったと思います。母は今でも口癖のように「あんたたちには何もしてやれんかったのに」と言います。でも、そんな両親や先生たち、保護者の皆さん、すべての人の関わりが私を成長させてくれました。本当に感謝しかありません。
高校、大学、現役時代には寮生活を送りました。ここでは規律性や協調性を学びました。高校では、今まで「兄貴」と呼んでいた兄を「先輩」と呼ばなければいけませんでした。「こんな世界なんだ」と気付かされ、不安と緊張の中、高校生活がスタートしました。
厳しくて理不尽だと感じたこともありましたが、それを素直に受け入れて必死に耐えたことで忍耐力が付きました。この頃から世界やオリンピックを見据えた目標が、さらに明確になりました。
大学の付属高校に通っていたので、大学トップの日本代表クラスの選手と実際に組む機会があり、この人に勝てば代表になれると思うことができました。この時から、先生方に指示されてする練習から、自分で考えてする練習に取り組むようになりました。
現役を終えて指導者という立場になってからは、技術面より選手たちの気持ちを理解し、どれだけサポートできるかを大切にしてきました。選手が活躍期間を残せるように周りの環境を整えることを一番大事に思いながら指導してきました。

−−加納さんは会社の経営者です。選手であり指導者でもあった中村さんの話から、何か感じられたことはありますか。

〈加納〉スポーツは会社経営にとても似ていると思いました。例えば、サッカーなどのチーム競技の試合を見ていると、監督の気持ちが分かったり気になったりします。1人で行う競技であっても、周りには必ずサポートしてくれる人がいます。どんなスポーツの試合を見ても「チームビルディング」のキーワードが頭に浮かびます。
中村さんが話されていた、選手の声を拾いながら環境を整えることは、弊社でも同じです。働いている人の声をすべて拾い上げ、働いている人たちが100%のパフォーマンスを発揮できるようにするための環境づくりが、経営者の役割だと思っています。とても共通する部分があると感じました。

〈難波〉コロナ禍での苦悩や気付きはありますか。

〈加納〉エンターテインメント業界と非常に近いところで仕事をしているので、正直、大打撃を受けています。イベントの中止や延期で着ぐるみのメンテナンスや修理もゼロでした。
今、少しずつ増えてきていますが、これまでの1年半は本当に苦しかったですね。着ぐるみを作る以外の仕事をしながら会社を続けるべきだと考え、昨年の夏は、防護服やマスクなどの医療資材の製作依頼を受けました。会社を経営するために売り上げを立てることが大事だと考え、どんな仕事でも引き受けてきました。
防護服を作っていた時期は、色とりどりであるはずの着ぐるみ工場が2カ月間、防護服の真っ白な色になってしまいました。スタッフたちの気持ちがどんどん沈み、会社の空気が変わったように感じました。
着ぐるみの仕事に戻った時、みんなの生き生きとした表情をまた見ることができました。そして、あるスタッフが「あの時、初めて辞めようかと思いました」と笑いながら話してくれました。
当時は、医療資材を作ることは社会にとってすごく大事なことでしたが、スタッフの話を聞いて私たちのやるべき仕事は、世の中の皆さんに元気と楽しさを届けることなんだと大反省しました。人間は楽しいことがないと生きていけないんだ、空気と同じくらい大事なんだと感じました。

−−お二人は、それぞれスポーツとアートを通じて世界を見ておられます。世界に誇れる日本の良さは、どんなところだと思いますか。

〈中村〉日本の伝統や文化で培われた人間性は、さまざまなことにつながります。SDGsの4番目「質の高い教育をみんなに」にも関係していると思います。その人間性から生まれる挑戦する心や労力を惜しまない心が、日本の高い技術力につながっていると思います。
柔道にもある礼儀作法も、世界に誇れる日本の良さの一つです。海外では日本人の礼儀作法は素晴らしいと評価されています。日本の柔道人口は約12万人といわれていますが、フランスではその約5倍だそうです。柔道で培われる礼儀作法が高く評価されていることが理由です。
私は指導者からよく「強くなればなるほど、人に優しくなりなさい」と言われてきました。常に相手の立場に立ち、相手の気持ちを考えるという考え方は、柔道を通して自然に身に付いていました。

〈加納〉日本人はとても勤勉で真面目で辛抱強い国民です。しかし、頑張っているのに最高の結果を残せなかった人を批判する、そんな人たちが今この日本にもいます。
海外には失敗を許して次を応援してくれる文化がありますが、日本は、どちらかというと失敗が許されない国です。だから失敗から立ち直るのに時間がかかります。
中村さんの話を聞いて、日本に何が足りないのかを考えた時、やはり優しさだと思いました。スポーツ選手は相手を尊重する気持ちを日々の練習などから自然と身に付けていますが、私たち一般人は自ら身に付ける必要があります。相手を尊敬し、大事に思うことが優しさではないでしょうか。この優しさがスポーツ以外でも成功につながりますし、周りにいる人を幸せにします。
キグルミビズの工場では日々、「ありがとう」「すごいね」の言葉が飛び交っています。そういう優しさが、もっと日本に広がっていくと良いですね。

〈難波〉豊かな未来になるためには、お二人が話された「相手の立場を考えること」や「相手を大事に思うこと」が必要です。これが培われるのがスポーツやアートだと思いました。

−−ありがとうございました。現在、延岡市駅前複合施設エンクロス2階で、この番組「ココカラSDGs」のゲストの皆さんお薦めの本を紹介しています。ぜひ足を運んでみてください。

【第7回の出演者】
〈ゲスト〉旭化成延岡支社延岡総務部総務・広報グループ課長の中村行成さん、キグルミビズ=新富町=代表の加納ひろみさん
〈アドバイザー〉SDGsコミュニケーター難波裕扶子さん(日向市)
〈ナビゲーター〉松田祐子さん(FMのべおか)

◆第7回の再放送
28日午後8時、31日午前11時からの2回(おわり)

◆第8回の内容
〈テーマ〉宮崎のジェンダー平等×SDGs
〈ゲスト〉グローバル・クリーン(日向市)の専務・税田倫子さん、宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室の副室長・清水鈴代さん、TNAソリューションデザイン(宮崎市)の専務・竹原沙織さん

〈放送日〉11月18日午後1時から
〈再放送〉11月25日午後8時から、同28日午前11時からの2回

その他の記事/過去の記事
page-top