３公立病院を再編、統合

持続可能な提供体制へ−役割分担し機能を強化

◆西臼杵３町が基本構想

　西臼杵郡の高千穂、日之影、五ケ瀬町は２５日、３町の公立病院に関する「西臼杵地域における医療連携に係る基本構想」を発表した。３町は今後、同構想に基づいて２０３０年ごろまでは既存施設を活用しながら段階的な機能再編、持続可能な提供体制を目指す。

　３町は西臼杵地域公立病院部会（部会長・植松昌俊西臼杵郡医師会長、７人）が７月、郡内３公立病院の在り方について「一部事務組合による経営統合を早期に実現することが望ましい」とする検討結果を３町長に報告。住民説明会も７、８月に計１２回開催、その意見を踏まえた基本構想案を作成。９月から今月にかけて、基本構想案に関するパブリックコメントを実施、基本構想をまとめた。

　その基本構想のゴールは「西臼杵郡の地域医療を長期的に存続させる」ことを掲げた。そのために３公立病院の役割分担を進めることとした。

　高千穂病院は急性期治療やリハビリが必要な回復期に特化。日之影病院は主に長期療養を必要とする慢性期へと転換。五ケ瀬病院は医療ケアと介護を必要とする患者を主とし、介護保険施設としての機能を強化する。

　さらに、日之影、五ケ瀬は一般病床を残してこれまで通り、軽度な急性期−回復期相当の入院患者を受け入れる。この役割分担をより明確化し、現在は多くが郡外に入院している回復期から慢性期相当の患者をできるだけ受け入れる体制を整えるとした。最終的には、外部環境の変化などを踏まえながら２病院の病床数の適正化を進めるとしている。

　また、３公立病院で共通の地域連携部門を組織して入退院の連携を図り、患者データの共有化を推進。オンライン診療も検討する。

　この連携を図るため経営統合を完了させ、２４年４月から新しい医療体制で今後のスケジュールを実施。既存施設の活用が難しくなる３０年以降の医療提供体制についてはその時点での郡内の医療需要や医療提供体制に応じて改めて見直す予定。

　３公立病院の経営は、３町の衛生業務（廃棄物処理）や消防業務を行っている西臼杵広域行政事務組合の一部となることを検討。医師、看護師などの確保については、３病院が各自で行ってきた取り組みを共同で行い、医師、看護師等を引き付ける魅力ある病院、地域づくりに取り組むとしている。

　３町は今月２５日、各町のホームページで同構想を発表。３町の役場と病院で閲覧することもできる。３町長と３公立病院長らで構成する西臼杵地域公立病院統合再編協議会会長の甲斐宗之高千穂町長は「西臼杵郡の地域医療を長期的に存続させる目標に向かって、３町、３病院が一丸となって取り組んでいきたい」とコメントした。