台風９号、延岡市内の被害

本紙掲載日：2021-08-09

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家の中の掃除する地域住民や親戚ら

家の外に汚れた家具や畳などを運び出した

安賀多町の山本板金工業所は８日午後８時ごろから店内まで浸水した（９日撮影）

浸水防止に設置していた土のうを片付ける山形屋ギフトショップ黒木さん（９日、延岡市旭町）

倉庫が床上５、６センチほどつかり、片付け作業中の川﨑喜人社長（９日）

◆床上浸水、旭ケ丘高橋さん方

　旭ケ丘在住の髙橋貴光さん（５０）方では土間から約５０センチ浸水し、貴光さんや地域住民、親戚約１０人が、けさから１階の家具や畳を家の外に運び出す作業に追われた。

　８日午後８時ごろに母の惠美子さん（８９）から貴光さんに「水が上がってきて、足がぬれた」と連絡が入った。帰宅した同１０時には玄関先に１０センチほどの水がたまっていた。家の中を見てみると、家具には浸水した水の跡や泥が残っていたという。貴光さんは「生まれて初めての経験。玄関までは何度か浸水しているが、まさか床上浸水するとは想定外だった」と話した。

◆安賀多町県道が冠水、沿線の店舗などに被害

　延岡市安賀多町の県道沿線も８日午後８時すぎから冠水。沿道の店舗も浸水する被害に遭った。

　理容業を営む高原辰美さんは昨夜、すさまじい雨音に外の様子を見ようと戸を開けようとした。ところが、「（水圧で）戸が開かないくらい」になっていた。

　入り口は路面より２０センチ高くなっているが、踏み出すと靴がつかった。シャッターの前に土のうを積んだが、「車が通ると、波が押し寄せて困った」という。

　この雨も「夜９時ぐらいには収まり、それから２０、３０分ぐらいして水が引き始めた」という。

　同町の山本板金工業所の山本章一さん（７２）は「午後８時ごろが一番激しく降り、店の中にまで水が入ってきた」と話した。

　旭町も排水溝からあふれて浸水。宮崎山形屋ギフトショップ外商部出張所の黒木文夫さん（５６）は店先にたまった泥を片付けながら「あまりの水の量にマンホールが浮き上がっていた。道路が川のようだった」と話した。

◆出北の自動車部品倉庫がつかる

　出北では昨夜８時ごろの豪雨で、一帯の道路が冠水。自動車部品会社の倉庫は道路から１０センチほどかさ上げしているが、床上５、６センチまで浸水した。

　同社の川﨑喜人社長（４１）は「朝から倉庫の片付けに追われている。部品に被害はないからまだいいが、台風や豪雨は浸水するから大変」と、何枚ものタオルに水を吸わせては絞る作業を繰り返していた。

　出北１丁目と２丁目の境界となる道路は一時、縁石が見えなくなるほど浸水。近所の女性（５８）は「２０年住んでいるが初めてのことで驚いた。自宅の前に川が流れているようだった」と振り返った。