内藤家顕彰会－今年度会誌「亀井」を刊行

本紙掲載日：2021-06-05

3面

今年度の内藤家顕彰会会誌「亀井」

付録の「わが人生の奇縁宿縁」

付録に大崎会長の「わが人生の奇縁宿縁」

　延岡市の内藤家顕彰会（大崎清会長）は今年度の会誌「亀井」を刊行した。「延岡城・内藤記念博物館本館完成記念号」として今年２月に北東の空から写した本館の外観が表紙を飾った。同博物館の進捗（しんちょく）状況などについて、内藤記念館専門学芸員の増田豪さんが寄稿。ほかにも多数の文章が寄せられた。また、今回は大崎会長が夕刊デイリー新聞に連載した「わが人生の奇縁宿縁」が付録として添付された。

　Ａ４判の３５ページ。藤色の表紙には挙母内藤家当主で学習院名誉院長の政武氏による「龜井」の題字。冒頭を飾る大崎会長の「懐古逍遥」は今回「山の名前」がテーマ。ふるさとの山や川の名を覚えないと「故郷に愛情は湧かない」とし、先賢や史跡の名前まで子どもたちに覚えてほしいと訴える。

　武士であり絵師として活躍した田﨑草雲についての紹介は北九州市小倉城庭園学芸員の大道智子さんが寄稿。九州では初めて開催された企画展についてを紹介している。

　大崎会長の古い友人でもある鈴木邦彦さんは福井県教育長を務めた人。「掛川藩主太田家と内藤政擧公」について寄稿し江戸城を築いた太田道灌公の系譜を紹介。大崎会長の要望に応えて、掛川の太田家から内藤家へ養子に入った政擧公のことに触れている。

　「西郷どん余韻」では、西郷隆盛に関する著書を残した香春建一さんの漢詩を掲載した。

　「政擧公に関スル思ヒ出集」は政擧公の孫で挙母藩現当主の政武氏から提供された貴重な資料として、内藤家家扶（かふ）として御殿勤めをした白石泰氏や内藤家顧問ら計７氏の談話を原文のまま掲載している。７氏は尊敬を集めた政擧公の立ち振る舞いなど、逸話をそれぞれのエピソードで紹介している。

　「銘仙が爆発的に流行したのはなぜか」は草雲美術館学芸員の大森哲也さんの執筆。銘仙は平織りの絹織物。大正から昭和にかけての女性の普段着、おしゃれ着の着物として普及しました。本来は絹織物だが、延岡発祥の旭絹織によるレーヨンが普及し、「安くて格好が良い」と人気となった銘仙を紹介している。

　内藤記念館専門学芸員の増田さんは、本館部分が完成した記念博物館についてのほか、内藤家家臣・半田家所蔵の古文書についても寄稿している。

　また、付録「わが人生の奇縁宿縁」は２０２０年１１月２４～２６日に上中下で掲載したそのままにＢ５判にまとめて「謹呈」とした。陸軍士官学校第６１期生として過ごした時代からその学友との文字通り「奇縁宿縁」を紹介した内容となっている。

　今年度の会誌「亀井」の目次は次の通り。

「延岡の絵と人（その十七）中原翁一粲図▽内藤政武様学習院名誉院長御就任▽懐古逍遥（山の名前）大崎清▽「延岡城・内藤記念博物館～現在の進捗状況と今後について～」増田豪▽「企画展『～武士として絵師として～田﨑草雲のまなざし』から見た草雲の魅力」大道智子▽「一、掛川藩主太田家と内藤政擧公」「二、政擧公（幼名・寛次郎）の幼少時代の記録」鈴木邦彦▽「会員俳壇／先人遺句」福富健男、坂本純一／立木紅葉域▽「西郷どん余韻／西南戦争出動員数表」香春建一▽政擧公に関スル思ヒ出集▽「銘仙が爆発的に流行したのはなぜか」大森哲也▽「内藤家家臣・半田家所蔵の古文書について」増田豪▽「延岡出身先哲略伝」（上）甲斐勇▽令和２年度賛助会員消息▽令和２年度収支報告書・編集後記▽令和二年分の賛助金を頂いた方