ベトナム人のチームメートへ和装体験プレゼント

本紙掲載日：2021-05-13

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今山八幡宮境内の今山恵比須神社前で記念写真に収まる「レディース」の皆さん

メンバーの指示を受けながら、モデルになって写真撮影を楽しんだ

バレーサークル「レディース」

◆日本での思い出に――今山八幡宮で記念撮影

　日本での思い出をつくってほしいと、延岡市のバレーボールサークル「レディース」（髙橋敏美代表、１２人）は４月２６日、メンバーでベトナム人技能実習生のグエン・ヴィエット・ザンさん（２５）、ホァン・ヴァン・ルックさん（２６）に和服での写真撮影を兼ねた遠足をプレゼントした。

　同サークルは約４０年前、ママさんバレーボールチームとして一ケ岡の市営住宅の住民らで結成。ほとんどメンバーが変わることなく、今も週２回、一ケ岡小と伊形小の体育館で練習している。

　２人がメンバーに加わったのは２年前。同じ職場で働くメンバーの平塚多喜子さん（７０）が誘ったのがきっかけだった。

　「来日して１年が過ぎた頃。日本語が難しく、言いたいことがうまく言えない状況もあった。ストレスがたまっているんじゃないかと思って誘った」と平塚さん。２人は喜んで参加し、メンバーも「孫みたいなもの」とかわいがった。一気に若返ったチームは「（２人が）上手だから下手なことはしていられない」と活気付き、２人も日本語をどんどん覚えた。

　今回のプレゼントは、「着物を着てみたい」というリクエストから。２人は今年６月で技能実習期間の３年が経過する。ルックさんは２年延長予定だが、ザンさんは「他の仕事も学んでみたい」と今の職場を離れる予定で、思い出にと「あれよあれよ」と準備は進んだ。

　この日は２人に加え、ザンさんの彼女で練習にも時々参加するというグエン・ティ・キム・チュウ・リンさん（２０）の姿も。それぞれが着物や髪飾りなど必要な物を持ち寄り、着付け、ヘアセット、メークを全てメンバーが協力して行った。

　身支度を整えて移動した延岡市山下町の今山八幡宮では、境内にある神門や、恵比須神社、稲荷神社の鳥居前で写真撮影。３人が神門の前など撮影スポットに並ぶと、「こっち向いて」「そこでストップ」「向き合って」など熱く指示を送りながら撮影した。

　「バレーの時間が待ち遠しかった」というザンさんは、「とてもきれいで記念に残る。祭りなどは仕事で行けず、テレビで見ただけだったので着てみたかった」。ルックさん、リンさんも「楽しいし、うれしい」と満面の笑みを見せ、喜んでいた。

　髙橋代表（７３）は「すごく喜んでくれて『着物を脱ぎたくない』というほどだった。年齢はおばあちゃんだけど、お母さんのような気持ちで見守ってきた。本当にいい子たち」と目を細めていた。