寂しいけど元気にお別れ

七ツ山小で閉校式典−諸塚

◆来月末、１４５年の歴史に幕

　♪みやまの春は花かすみしずもり匂う学舎に……諸塚村立七ツ山小学校（海老原徹校長、全校児童１０人）で１３日、児童や教職員、保護者ら４５人が出席して閉校記念式典が行われた。同校は来月末、惜しまれつつ１４５年の歴史に幕を下ろす。

　式典を前に、全校児童が入学以来練習し、いろんな催しで披露してきたという「七ツ山太鼓」を息もぴったりに元気よく演奏し、オープニングの大役を務めた。続いて、学校の歴史や最近の様子を振り返る映像が上映された。

　式典では、甲斐誠教育長の経過報告に続き、西川健村長が式辞。「本来であれば盛大に挙行されるべき閉校式だが、新型コロナウイルス感染症の影響により、ごく小規模での開催は、閉校という現実と相まって寂しさが募る」と惜しんだ。

　海老原校長は、「子どもたちには、閉校を一つの節目として、より強く、優しく、たくましく育ってほしいと強く願っている。小学校としての灯は消えるかもしれないが、地域の力で跡地をぜひ有効活用していただき、地域がより活性化していくことを心より願ってやまない。『ああ七ツ山わが母校』。校歌の歌声は、われわれ一人一人の心の中に永遠に響き続けていくことと信じている」と述べた。

　児童全員がステージに上がり、最後の七ツ山小学校児童として、１人ずつ元気いっぱいに「お別れの言葉」を発表した。

　この後、海老原校長と６年生の小川真慈さんが校旗を降納、西川村長に返納した。最後に、全員で校歌を斉唱、記念撮影を行い式典を終えた。

　式典後は、玄関脇に建立された閉校記念碑の除幕式が行われた。

◆コロナ禍収束後に「思い出を語る会」

　閉校記念式典は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から当初の内容を変更し、規模を縮小、時間も短縮し、参加は関係者のみ、一般には参加の自粛を要請して行われた。なお、コロナ禍収束後に地域の人たちが、「七ツ山思い出を語る会」を計画しているという。

　同校は１８７６（明治９）年、七ツ山地区の浄覚寺本堂と観音山芝居堂に仮校舎を設けて、子どもに読み書きを教えたのが起源という。

　同村教委によると、昨年７月、同校ＰＴＡや校区内の公民館長から、西川村長、甲斐教育長に対し、七ツ山小学校を閉校し、諸塚小への統廃合を要望する申し入れが行われた。これを受け条例の一部改正が村議会で可決され、県教委への届け出が受理され閉校が正式に決まった。

　同校の児童数は、１９６０年の２９２人をピークに年々減少。現在の児童数は１０人で、２０２４年度には６人になると見込まれていた。地元の申し入れでは、児童数減少による学校運営の厳しさに加え、「諸塚小学校への統合により、より多くの児童の中で学ばせたい」との保護者らの要望が強かったとしている。同村では、０５年度には、創立９７年だった立岩小学校が閉校した。