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義務教育学校、誕生へ−4月、美郷町に県内初

本紙掲載日:2021-01-27
8面

小中一貫2校同時に開校予定

 今年4月、美郷町に県内初となる小中一貫の義務教育学校が2校同時に開校する。田代小学校と西郷中学校が閉校し、新たに美郷町「西郷義務教育学校」として誕生。北郷区に既存する美郷北学園も小中一貫校から「美郷北義務教育学校」に移行する。これまでの小中一貫校との違いや新しい学校に対する町の期待などを紹介する。

◆小学校と中学校分けず−修業年数9年、独自編成が可能

 県内初となる義務教育学校は、国が2016年4月に導入した小中一貫教育制度の一つ。これまで同制度には併設(施設一体・分離)型小中一貫校と連携型小中一貫校の2種があり、義務教育学校はいずれとも異なる新たな学校種として設けられた。

 06年に全国で初めて開校した平岩小中学校(日向市)をはじめ、北方学園(延岡市)や上野小中学校(高千穂町)など、県内の小中一貫校はいずれも併設(施設一体・分離)型となっている。

 それら既存の小中一貫校は一貫とはいえ、正式な名称は小学校と中学校に分かれている。

 例えば、大王谷学園(日向市)であれば、大王谷小学校と大王谷中学校がある。修業年数は小学6年間と中学3年間の「6・3制」。教員組織も小学校、中学校それぞれに校長や教職員組織が立てられており、教諭は所属する学校の免許を保有していれば良い。

 一方、義務教育学校は、小学校と中学校という分け方がなくなり、完全に一つの学校となる。修業年限は9年間。従来の「6・3制」にとらわれず、「5・4」「4・3・2」など学校独自の編成が可能となる。教員組織も一つとなり、原則、小中両方の免許を持っている教員が在籍することになる。

◆2007年から南郷、北郷で順次移行

 町では07年から、少子化の問題や国の小中一貫教育の推進などに合わせ、移行検討に取り組んできた。

 最初に動いたのは南郷地区。11年には、「南郷中」の敷地に水清谷小、渡川小、鬼神野小、神門小の4小学校を閉校し、新たな「南郷小」を併設した「美郷南学園」(南郷幼稚園も併設)が開校した。

 続いて北郷地区。15年に「北郷中」の敷地に、旧北郷小と黒木小の2小学校を閉校し、新たな「北郷小」を併設した「美郷北学園」(北郷幼稚園も併設)が誕生した。

 田代小学校と西郷中学校がある西郷地区でも、小中一貫校への検討がなされていたが、国の導入に合わせ、義務教育学校として22年に開校することが決まった。

 町教委教育課によると、新設される西郷義務教育学校も美郷北義務教育学校同様、同一敷地内に幼稚園(西郷幼稚園)を併設し、幼稚園課程2年間を含めた11年間で一貫した教育活動を展開する。

 石田隆二課長は、南郷や北郷のこれまでの経緯を踏まえ、「学校が無くなることは地域にとって大きな出来事。伝統を終わらせることは心苦しいが、少子化や過疎化などでいたしかたない面もある。だからこそ、いま一度地域と共に『新たな学校』として進んでいけたらいい」と話した。


◆西郷義務教育学校−田代小と西郷中を統合、施設内に幼稚園も併設

 西郷中学校の敷地内に開校する西郷義務教育学校は、田代小(児童数68人)と西郷中(生徒数30人)を統廃合し、田代幼稚園(園児数25人)も施設内に併設される。20年9月には増改築工事も着工され、木造平屋の小学校棟や鉄骨平屋の幼稚園棟、給食センター棟などが建てられている。

 19年9月には、住民や教員らによる準備委員会(会長・島木良浩田代小校長)を設置。PTAのあり方、校歌、校章、制服の有無などを協議してきた。また、教職員で構成する西郷教委職員研修会を2週間に1回の頻度で開催。教育課程や体制、学校理念などについて話し合いを重ねてきた。

 既に校歌と校章は完成。制服制は導入せず「標準服」としてブレザー、ネクタイのみ規定のものを用意。その他のシャツやズボンに指定はなく、風紀に大きくはずれないデザインであればよい。標準服は入学式や卒業式、対外行事に着用する。

 幼稚園から中学校まで11年間を見通した教育が特徴。従来の「6・3制」ではなく、園児を含めた「前期ブロック(幼〜4年生)」と「後期ブロック(5〜9年生)」に分け、子どもたちの成長に応じた教育活動を行う。

 前期ブロックは「教師主導型」とし、基礎期間として学級担任を中心に授業を実施。教師の声掛けによる導きを中心に教育活動を行う。

 後期ブロックは「子ども主体型」。教科担任による専門性の高い授業を行う。校則を話し合ったり、学校行事を企画、運営させる機会を設け、子どもたち主体の教育活動を行う。

 島木校長は「モデルがないことが強み。開校までに全てを決めてしまうのではなく、自分たちでつくり上げていく。いろんな事に挑戦し、子どもたちも先生も毎日わくわくできる学校にしたい」と話した。


◆美郷北義務教育学校−現在の小中一貫から移行、四つの段階で学び促進

 北郷小(児童数54人)と北郷中(生徒数24人)、北郷幼稚園(園児数11人)が同じ敷地にあり、施設一体型で運営している「美郷北学園」も4月から義務教育学校に移行する。既に美郷北学園として愛称も浸透しており、校歌や校章、制服(デザイン、着用時期)は現在のものを使用する。

 同校でも、幼稚園から中学校までの11年間を一貫した教育理念で育てる。
こちらは、「幼稚園」「前期ブロック(1〜4年生)」「中期ブロック(5〜7年生)」「後期ブロック(8、9年生)」の四つの段階に分ける。

 幼稚園と前期ブロックは、学びの土台をつくり、定着を図る。学級担任が中心に授業を進める。遊びから学習へつなげ、学習習慣の定着を目指す。

 中期ブロックは学びの拡充、活用を図る。担任と副担任で業務を2分化し、教科担任制へ徐々に移行する。主体的、対話的な学びを促す。

 後期ブロックは学びの深化、発展を図る。教科担任制。なりたい自分の実現に向けて努力する系統的、継続的なキャリア教育の推進など。

 美郷北学園の川見達也校長は「子どもたちがストレスなく移行できるよう協議を重ねており、より質の高い教育ができると思う。今も地域に支えられている。さらに北郷に根ざした『地域の学校』を目指したい」と話した。



◆なぜ、義務教育学校なのか−美郷町大坪隆昭教育長に聞く

−−なぜ義務教育学校なのでしょうか。

 町ではこれまでに南郷、北郷それぞれに施設一体型の小中一貫校を設置しています。今回、田代小と西郷中を併せて義務教育学校にすることで、町内全ての学校で施設一体型の小中一貫教育を行う環境が整います。

 義務教育学校のメリットとして、特別な教育課程の編成が設置者(町教育委員会)の判断で行えること、小学校での教科担任制や業務の効率化など、校長の経営能力をこれまで以上に発揮させることができます。

 また、各学校に公立幼稚園を併設していますので、幼小中に保育所を含めた連携を深めることで、就学前教育をこれまで以上に充実させられると期待しています。

 さらに今回の事業には新しい校舎の建設が伴いましたが、義務教育学校制度を活用することにより、国からの助成金を受けることができたのも財政的に大きな魅力でした。

−−町としての期待は。

 今回の事業を通して、五つの効果が期待されます。第1は「人口減少地域における学習環境の改善」です。小規模学校の特徴に、児童生徒数に対して教職員の数が豊富であることが挙げられます。

 例えば、中学校数学の教師が小学校高学年の算数も担当することにより、教科の専門性を発揮し教育効果を高めることができます。児童生徒が多くの教職員から指導を受けることで興味、関心や個性の伸長になります。

 第2に「就学前教育の充実」です。先述したように、学校には公立幼稚園が併設しています。年中児から幼稚園に通える環境を整えることで、就学前教育の充実とその後の教育効果を高めていきたいと考えています。このことは同時に、小1プロブレムの解消にもつながります。

 第3に「働き方改革」です。人口減少地域における学習環境の改善と関連しますが、教科指導以外では、小学校と中学校とで同じ業務を行っている場合があります。

 それらを一本化するとともに、お互いが担当する業務を平準化することで、教職員一人ひとりの子どもたちと接する時間が増え、より良い支援になると考えます。

 第4に「コミュニティスクールへの移行」です。学校地域協働活動とコミュニティスクール構想を関連させながら進めることで、地域と連携した学校経営が進められます。子どもは地域の宝であり、子どもが通う学校も地域の宝です。地域と共にある学校を目指します。

 第5に「美郷町まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進」です。

 本町では、昨年3月に総合戦略「未来発創〜22世紀のふるさとを目指して〜子どもの幸せづくり戦略」を策定しました。教育環境の充実ぶりをご理解いただくことで、移住者や定住者を増やすことにつなげたいです。

−−どのような学校を目指しますか。

 21年3月までに町内全ての児童生徒に1人1台のタブレットを配備します。タブレットなど新たな技術を使い、学校間をリモートでつなぐことも計画しています。このような学習環境の中で、発想力や心の豊かさなどを養い新しい時代を切り開く子どもたちを育てていきたいです。




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