駅前広場でダンス

エンクロスの市民活動家が企画

◆コロナ禍で発表の場を失った子どもたちのために−

　コロナ禍で発表の機会を失った子どもたちに、練習の成果を披露してもらいたい―。延岡市駅前複合施設エンクロスの駅前広場（幸町）で５日、同市などでダンスを学ぶジュニアダンサーの発表会があった。小学生で編成した５チームが参加。色鮮やかな衣装に身を包み、元気いっぱい踊った。

　企画したのは、エンクロスで「アロマヨガ」などを定期的に開く、市民活動家でアロマヨガインストラクターの右田佐知子さん（４１）。ダンスに関しての専門的な知識はなく、全くの〃畑違い〃だったが、ダンスイベントについて調べ、エンクロスと相談を重ね、助言も受けながら準備を進めてきた。

　きっかけは、チアリーディングを習う小学生の娘だった。旬の曲を一生懸命練習する中で、披露予定のイベントは次々と中止になった。「きっと他の子どもたちも同じ状況のはず」と、他のダンス教室に話を聞くと「目標がなくなった」「（発表の場がないため）衣装が昨年からずっと一緒」などの声が寄せられた。

　これまで、市民活動家としてさまざまなイベント企画に関わってきた右田さん。「いろんな規制があり、不自由がある中で、何かイベントをやるなら市民活動しかない」と、自身の手でイベントをつくることを決意。「娘のダンスが入り口」となり「まずはダンスの発表会を」と、昨年９月ごろから計画を練ってきた。

　迎えた本番。直前に県内で感染者が急増したことで辞退チームが相次ぎ、予定していたチーム数を大きく下回った。それでも出演した子どもたちは、そろいの衣装でキレのあるダンス、かわいらしいダンスなど練習の成果を披露。踊り終わると通り掛かりの人たちからも大きな拍手が送られ、ステージ特有の緊張感を味わっていた子どもたちの顔に笑みが広がった。

　小学５年生４人で踊った「ＬＩＳＫＹ」の沢部里愛さん（旭小）、甲斐いろはさん（同）、白石由依さん（同）、宮原彩桜さん（岡富小）は声をそろえて「楽しかった」。例年、市内外で開かれる多くのイベントで踊っていたが、昨年は軒並み中止になり、「（人前で）踊りたくても踊れない１年だった」。「すごい緊張したけど、終わった後すごく楽しかった。踊れて、人に見てもらうことができてうれしかった」と弾んだ声で話した。

　司会進行も務め、子どもたちの発表を盛り上げた右田さんは「今までは見る側で、イベントはすぐにできるものと思っていたが、そうではなかった。ノウハウを教えてくれたエンクロスやダンスの先生方、音響さんのおかげ。無事に終わって良かった」と感謝。その上で「素人のために反省点も多かった。今回の経験を生かし、街の人たちも一体となったイベントを計画できれば」と話した。