認知症保険に加入−延岡市

県内初、在宅高齢者対象

◆家族に安心を−交通・鉄道事故などに対応

　在宅で生活する認知症の人とその家族が地域で安心して暮らすため、延岡市は個人賠償責任保険に加入した。認知症の人が他人にけがをさせたり、財物を壊したりして本人や家族が賠償責任を負うなどした場合に備えるためだ。保険料は市が負担し、適用を受けるには申請が必要となる。認知症保険の加入は県内市町村で初めて。

　補償には、個人賠償責任補償、死亡時の見舞い費用補償、交通事故などによるけがの補償がある。

　個人賠償補償は、他人にけがをさせたり、人の財物を壊すなどして法律上の賠償責任を負った場合。また、線路に立ち入って電車を止めてしまった際に鉄道会社から請求される振替輸送費用等の損害賠償責任などにも適用される。保険金額は１事故につき上限１億円（国内・国外）。

　死亡時の見舞い費用補償は、認知症の人が日常生活に起因する偶然な事故でけがをさせた相手が、事故の直接の結果として死亡した場合、賠償責任の有無にかかわらず相手方に１５万円を支払う。

　交通事故などによるけがの補償は、本人が交通事故などのけがで死亡した場合、また、後遺障害が生じた場合に保険金の支払いを受けられる。保険金額は死亡が５０万円、後遺障害は程度に応じて２〜５０万円。

◆適用受けるには申請が必要

　保険適用を受けられる対象者は、市内居住の４０歳以上の在宅生活者で、医師の診断書などで認知症と確認できる人など。すでに市が運用しているＱＲコード付きシールを活用した認知症高齢者等の見守り支援に登録していることが原則だが、申請時に登録すれば加入できるという。

　保険適応期間は申請の受け付け時から来年４月１日。保険加入に関する申請の後、決定通知を受けた人に限る。加入後、毎年の保険は自動更新される。今回の保険料は契約期間（８カ月）に準じて１人当たり１６００円（年間１９９０円）だが、市が負担するため個人負担はない。

　申請方法は、同市認知症高齢者等総合保険申請書と、主治医の意見書または認知症の診断書を市健康長寿のまちづくり課に持参（市役所２階）、郵送（〒８８２―８６８６延岡市東本小路２番地１）で提出する。問い合わせは同課（電話延岡２２・７０７２）。