一丸勝利「言葉に表せない」

県高校野球大会２０２０

　１点差の八回２死満塁と九回最後の打者。「飛んでこい」―。ライナーはいずれも遊撃手・新田のグラブに収まった。マウンドを守り切った畑中は「言葉に表せない気持ちが湧き上がった」。日向は、２時間超の降雨中断を含む延べ５時間３３分の長丁場を制し、２０人の笑顔がはじけた。

　攻撃は序盤から小技でかく乱した。事前の相手分析で、バントが有効と共有。二回に深田と黒木裕が記録は失策だが、ほぼバント安打を見事に決めて、先手を奪う。

　五回には１、２番のエンドランと二盗で無死二、三塁。３番の新田は「犠飛でＯＫ」。おあつらえ向きの高めの直球を捉えると、伸びた打球は左中間を深々越えた。

　六回にも黒木裕がプッシュバントで相手を揺さぶり、１死三塁として新田が左犠飛。無安打で２点差に広げた。

　終盤は執念で守り切る。八回１点差に迫られ、２死満塁となったところで突然の強雨により中断した。六回から登板していた主戦の畑中は「監督から『雨で流れを止めてもらえた』と言われ、前向きに捉えた」。切り替えてしのぎきった。

　本薗監督は「苦しい試合を乗り越えて、また一つ成長した」。次戦はシード校の宮崎日大との対戦。新田は「食らい付いて、１点でも多く取る」。畑中は「普段のプレーがかみ合えば勝てる。最高の準備をしたい」。また一丸、全力でぶつかる。


◇みんなで一つに−黒木裕（１安打に２本の絶妙なバントで２得点）
「１番につなぐことが役割なので、足を生かした。みんなで一つのアウトに一喜一憂し、一つになれた。次も守備は抜かせず、打撃は積極的にいく」


◇信じて投げた−畑中（先発し５回４失点）
「最少失点でいけば、（点を）取ってくれると信じて投げた。１、２回戦はいい投球ができていないので、次は０に抑え、１点でも多く取って勝つ」