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行縢山の特別調査に同行−大量のふん発見も…
◆シカと競合、生息数減少
国の特別天然記念物に指定され、宮崎、大分県境にまたがる祖母・傾・大崩ユネスコエコパークのシンボルでもあるニホンカモシカ(ウシ科)。その分布や生息密度などを把握する特別調査が県北で行われている。シカとの競合などで数を減らす九州地方のカモシカは、環境省のレッドリストで絶滅の恐れのある地域個体群に指定されている。延岡市で行われた調査に同行し、生息の痕跡を探した。
調査は、県の委託を受けたNPO法人宮崎野生動物研究会(理事長・岩本俊孝宮崎大名誉教授)が前年度から綾町以北で実施している。取材した日は、研究会の動物、植物班計13人が2班に分かれ、行縢山と北川町上祝子に入山した。記者は行縢班に加わった。
この日は、朝から断続的に強い雨が降るあいにくの天気。行縢山登山道は2合目と3合目の間にある通称「第二の沢」が増水で渡れず、予定していた雌岳周辺の調査を断念。雄岳の南側斜面にエリアを絞った。
岩本理事長によると、カモシカは、見通しが利く場所で岩などを背にしてまとめてふんをする習性があるという。調査もふんの塊を探すことが主眼。メンバーが5メートル間隔で1列となり、斜面にはいつくばるようにしながらぬれた落ち葉をかき分けた。
ふんは直径1センチほどで俵の形。暗い山林で見つけるのは至難の業だ。経験と勘を頼りに、滑る足元に気を配りながらの調査は思いのほか地味で体力を奪う。遠くの岩の上から1頭のシカが何食わぬ顔で見下ろしていた。
「ふん発見」。トランシーバーから弾んだ声が聞こえてくる。倒木の脇に数百粒あるという。一気に期待が高まったが、岩本理事長の見解は「アカネズミかな?」。カモシカにしては小さく、ネズミにしては大きい。ムササビの可能性もあるという。採取してDNA鑑定することになった。
途中でシカのふんも調査する。一定の広さから何個発見されるかで生息密度が分かるという。カモシカと反対に数を増やすシカだが、見つかるふんは意外に少ない。夏は微生物の働きが活発で分解スピードが速い。その分だけ見つけにくいという。
休憩を挟んで調査は続く。山頂直下の自然林で岩本理事長が何かを見つけた。細い木の幹が不自然にでこぼこになっている。縄張りを主張するため、カモシカが目の下の分泌腺から出る粘液をこすりつけた跡だという。
すぐ近くの大きな木は皮が無残に剥ぎ取られていた。こちらはシカの仕業らしい。ほぼ同じ場所に残された二つのサイン。カモシカとシカの競合を象徴するような場面だった。
結局、この日の調査でカモシカの生息を裏付ける痕跡は見つからなかった。行縢山では、2001年に登山道近くでカモシカの死体が見つかっている。人目を避け、今もどこかでひっそりと暮らしているのではないか。厚い雨雲からのぞく黒い岩肌に、カモシカの幻影を見たような気がした。
◆従来に増した保護政策が必要
カモシカは1934(昭和9)年に国の天然記念物、55年に特別天然記念物に指定された。九州の生息地は宮崎、大分、熊本3県にまたがり、本州などに比べて濃い灰褐色の個体が多いという。特別調査は87年から3県でほぼ5年置きに行い、今回が5回目となる。
2011〜12年度に行われた前回調査の3県報告書によると、カモシカは本来、標高が高く、急傾斜の奥山に生息域を確立していた。しかし、次第に低い場所に散らばり、小さな集団か孤立的に生活している個体が多いと見られている。
原因として報告書は、広域伐採や拡大造林によってシカが標高の高い場所まで侵入した結果、スズタケの群落もなくなるほど下層の植生が破壊されたと指摘。餌のなくなったカモシカは、民有の造林地やわずかに残る自然林、伐採地近くまで下りてきたと推察する。
こうした山域にはシカの侵入を防ぐネットが多く張られている。最近はカモシカが絡まって死ぬケースもあり、生息数を減らす要因の一つともなっている。
生息地を追われたカモシカは、人家近くにも姿を現すようになった。2014年、延岡市街地に近い広域農道沿いで脚にけがをした雌1頭が保護され、その後に死んだ。北方町下鹿川では今年2月、若い雄のカモシカが保護されたものの手当てのかいなく衰弱死している。
前回調査による推定生息数は3県で約800頭。今回の特別調査は11月末で終了するが、岩本理事長は「これまでに数カ所しかふんが見つかっておらず、前回より生息数が減っている可能性がある」と話す。
九州で絶滅したといわれるツキノワグマの二の舞いとならないためにも、従来にも増した保護政策が求められそうだ。