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実力派俳優たちと21回公演

本紙掲載日:2018-01-18
7面

中尾諭介さん(延岡出身)出演−演劇「荒れ野」

◆ハヤカワ「悲劇喜劇」賞−「とにかく前に進む」決意新たに

 第5回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞(早川書房、早川清文学振興財団主催)が15日発表され、延岡市出身でロックバンド「IntheSoup」のギター、ボーカルとして都内を中心に活動する中尾諭介さん(44)が俳優として初めて出演した演劇「荒れ野」に決まった。

 同賞は、優秀な演劇作品の功績をたたえるのを目的に平成25年創設。毎年、日本で上演された現代演劇を対象に審査し、表彰している。

 受賞した「荒れ野」は、愛知県豊橋市の「穂の国とよはし芸術劇場PLAT」のプロデュース作品。昨年11〜12月に愛知、福岡、東京の全国3カ所で計21回公演された。

 舞台は、新興住宅地と昔ながらの団地に分かれた郊外の地方都市。火災が発生したことで新興住宅地に住んでいた3人家族は団地の友人の家に避難する。その友人は、老人と青年の2人で奇妙な同居生活を送っていた。6人で一つ屋根の下で過ごすことになり、そこで起こるさまざまな出来事を通して、一夜の間に揺れ動く人間模様を描いている。

 出演者は中尾さんの他に、アル☆カンパニーの平田満さんと井上加奈子さん、劇団青年座の増子倭文江さん、同文学座の小林勝也さんらベテラン俳優と、同KAKUTAの多田香織さん。

 作・演出の桑原裕子さんと中尾さんの出会いは、中尾さんの延岡西高校同級生の本田誠人さんが旗揚げした劇団「ペテカン」の舞台。ミュージシャンとして出演していた中尾さんと共演した。

 桑原さんが今回の配役を決める際、共演した時に抱いた印象や役に求める人柄などを加味し、「面白い化学変化が起こるのでは」と中尾さんを抜てきしたという。

 団地で老人らと奇妙な生活を送る青年「ケン一」役を熱演した中尾さん。千秋楽の公演直前、真っ暗な舞台裏で出番を待っている時に「何も分からない自分がケン一の役をやらせてもらったこと、かわいがってもらったこと、みんなやケン一とお別れすることなど、ケン一と自分の思いが込み上げて涙がこぼれた」と最終日に抱いた心境を明かす。

 公演を終えた今は「居残り稽古したり怒られたりして、窮屈な思いや悔しい思いもたくさんしましたが、皆さんの優しさや愛のおかげでやり抜くことができ、幸せなひとときを過ごすことができました」と振り返る。

 今後については、公演初日に平田さんから「何が起きても前に進む。止まりさえしなければいい。とにかく前に進むこと」と声を掛けられたことに触れ、「この経験をどう生かせるのか分かりませんが、これからも目の前にある自分のやるべきことや目指すものに向かって、とにかく前に進んでいこうと思います」と決意を新たにしていた。

 ハヤカワ「悲劇喜劇」賞はこれまで、俳優の妻夫木聡や緒川たまき出演の「キネマと恋人」、蜷川幸雄演出「リチャード二世」、女優の宮沢りえや井上真央出演の「NODA・MAP第18回公演『MIWA』」が受賞している。副賞は100万円。贈賞式は3月23日、東京・信濃町の明治記念館で行われる。

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