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日本美術史の闇と光−講演会を前に

本紙掲載日:2017-01-27
7面

2月12日(日)午後2時−カルチャープラザのべおかハーモニーホール

◆日本人のかたわらに寄り添うように存在していた絵画
「九相図とは何か」共立女子大学文芸部教授・山本聡美

 九相図とは、人間の死体が腐乱し、徐々に朽ち果てていく様子を九つの段階に分けて描いた仏教絵画のことをいう。その起源は、九相観という観想(かんそう)修行(イメージトレーニング)で用いられた画像にある。

 仏教には、出家者が肉体に対する執着を断ち切るために、その不浄の様子を思い浮かべる不浄観(ふじょうかん)と呼ばれる修行がある。そのうち、腐乱死体や白骨を凝視し、自分も含めた人間の肉体が執着に値しないものであることを理解するための方法が九相観である。

 玄奘(げんじょう)三蔵(さんぞう)訳『大(だい)毘(び)婆(ば)沙(しゃ)論(ろん)』などの経典によると、元来、本物の死体を観察する修行であったが、もしその機会を得ることができない場合には、描かれた死体、つまり九相図で代えることができた。

◇「九相図巻」へのまなざし

 日本には、中・近世を通じて数多くの九相図が残る。ただし、九相観という修行そのものが日本ではあまり普及しなかったためか、実際に観想に用いたとみられる作例は稀(まれ)だ。その中で、鎌倉時代に制作された「九相(くそう)図巻(ずかん)」(九州国立博物館蔵)は、観想の対象であった可能性のある貴重な作例である。

 縦幅が三二センチ、一場面あたりの横幅が約五〇センチの巻物で、座って肩幅程度に繰り広げて見るのに適している。全巻にわたってほぼ無背景で、この絵巻を見る者の視線は、いやおうなく描かれた死体に集中することとなる。極細の墨線で描かれた毛髪の一本一本、黄土や朱に緑青を混ぜて点描風に陰影をほどこした皮膚など、緻密な描き込みに目をうばわれる。

 各場面の図様は、天台智據覆舛)(五三八〜九七)の説をまとめた『摩訶(まか)止観(しかん)』に基づいている。同経では、死体が朽ちていく九つの段階を、…荏蝓覆舛腓Δ修Α法併犖綛田召轡スで膨張する)、壊相(かいそう)(日に曝(さら)されて皮肉が破れる)、7譟覆韻繊謀描蝓覆困修Α法僻乕罎領け目から血があふれる)、で逗ァ覆里Δ蕕鵝冒蝓覆修Α法壁緲陲垢襦法↓ダ帖覆靴腓Α瘀相(おそう)(ミイラ化する)、噉相(たんそう)(禽獣(きんじゅう)に食われる)、Щ響蝓覆気鵑修Α法併融茲筝淆,散乱する)、┨相(こつそう)(骨となる)、焼相(しょうそう)(焼かれた骨)の順で説いている。

 この絵巻では、冒頭に生前相と新死相(死後まもなくの死体)の二場面を加え、代わりに焼相を省略した全一〇場面で構成されている。美しい女性の生前相を加えることで、死後の変化のすさまじさが強く印象付けられる。この絵巻には、肉体への執着を断ち切って仏道を究めようとする者の、真摯(しんし)なまなざしに耐え得る強度が備わっている。

◇「九相詩絵巻」の登場

 一方で、現存する大多数の九相図には、豊かな背景や詞(ことば)が添えられており、これを「九相(くそう)詩(し)絵巻(えまき)」と呼ぶ。詞には、中国北宋時代の文人・蘇(そ)東(とう)坡(ば)に仮託される(実際は日本で成立した)漢詩の『九相詩』と、肉体の無常を詠じた和歌が記されている。現在確認されている最古の作例として、奥付に文亀元年(一五〇一)の銘文を持つ「九相詩絵巻」(九州国立博物館蔵)がある。画中に添えられた和歌には、「さかりなる花の姿も散り果てて、哀れに見ゆる春の夕暮れ」など、若さや美しさの無常が読み込まれている。各場面では、横たわる死体の背景に、伝統的なやまと絵の描法で四季のうつろいがみずみずしく描かれており、無常の中に美を見出す日本的な情緒も見て取られる。

 日本の九相図は、詩歌や説話文学と融合することで、独自の展開を遂げた。絶世の美女であった小野小町が、晩年には容姿も衰え貧窮のうちに諸国を放浪、最後は野垂れ死んだとの伝説とも結びつき「小町九相図」などと呼ばれる作品群を生み出した。

 江戸時代には、掛幅形式の九相図を用いた寺院での絵解きも盛んにおこなわれ、市井の人々が朽ちてゆく死体の絵を見て自らの信仰を育んだのである。つまり、長い歴史を通じて九相図は、日本人のかたわらに寄り添うようにして存在していたのだ。

 九相図を前にして人が想(おも)うことは、とても単純で、だからこそ根源的な問いではないだろうか。自分とは何か、人間とは何か、生の領域に死はどのようにして訪れるのか。我々はどのように自らの生、あるいは死に向き合うべきか。腐乱する死体という強烈なイメージは、その答えではなく、そのことについて考えるための契機を我々に示しているのである。


◇新死相
さかりなる花のすかたも散はてゝあはれにみゆる春の夕くれ、
花もちり春も暮行木のもとに命もつきぬ入あひのかね。

◇青相
はかなしやあさ夕なてしくろ髪も蓬かもとのちりと成けり、
おもひきや鳥への山に捨られし犬のあらそふ身なるへしとは。

◇白骨連相
皮にこそおとこをんなの色はあれほねにはかはる人かたもなし、
かさりつるすかたは野辺に散はてゝのこるかはねのなれる姿よ。


◆山本聡美さん・プロフィル
門川町出身。門川小、門川中、日向高、早稲田大学第一文学部卒、同大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門は日本中世絵画史。著書「九相図をよむ〜朽ちてゆく死体の美術史」は平成27年度芸術選奨文部科学大臣新人賞などを受賞した。

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