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逃げ遅れゼロのまちへ−延岡市防災会議

本紙掲載日:2023-07-26
1面
地域防災計画の修正案を審議した延岡市防災会議

津波避難−厳しい基準で計画修正

◆4地区に新たな施設整備検討

 延岡市防災会議(会長・読谷山洋司市長)は21日に市役所で開き、南海トラフ地震対策へ新たに、市独自の「第2次津波避難施設等基本方針」に基づく特定津波避難困難地域の推計を追記して、より厳しい基準で対策に取り組む計画修正案を承認した。

 同基本方針では市が掲げる「逃げ遅れゼロのまち」を達成するために、避難に要する歩行速度を国が基準とする「毎秒1メートル」から、道路・建物の損壊など現実的視点を考慮した「毎秒0・7メートル」と定めた。

 それを基準に、想定される被害状況を加味した計算法で、いずれの安全な高台・施設からも半径336メートル内に入らないエリアを、新たな特定津波避難困難地域と推計。避難可能範囲内だが線路や河川などに囲まれて避難経路が確保できない地域も同様に扱うこととしている。

 防災会議では市の担当者が、同方針に基づき新たに22地区で避難困難地域が生じ、うち18地区は既存の高台や施設を避難先に追加することで解消できると説明。それが困難な北浦町古江と大武町、川原崎町、長浜町の該当区域には新たな避難施設の整備を検討していく方針を伝えた。

 説明を聞き、地震工学や危機管理を専門とする宮崎大学の原田隆典名誉教授は、より厳しい基準で計画を見直す市の方針を評価した上で、「国道10号より海側には保育園や幼稚園、老人ホームなども多い」と指摘。子どもや高齢者の避難速度・距離を一般の人と同等に考えているのか質問した。

 これに対し、市の担当者は保育施設や高齢者施設の中には避難場所に指定されている建物も含まれているほか、津波避難訓練も重ねられており、同方針には当事者の声も反映されていると説明。例えば、「小学校へ避難する際に正門からだと遠回りになり不安」という声には、別の避難口を整備するなど柔軟に対応する考えを示し、理解を得た。

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