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北方学園へ水彩画寄贈

本紙掲載日:2023-07-20
7面
寄贈された水彩画「諸塚山のあけぼのつつじ」と北方学園の代表児童生徒たち。中央が大久保さん

大久保安一さん(延岡市北方町出身)

 澄んだ青空を背景に、アケボノツツジの花々が、一つ一つ、丁寧な筆使いで描かれている。延岡市北方町早日渡出身、大久保安一さん(81)=同市南一ケ岡在住=の水彩画「諸塚山のあけぼのつつじ」が、19日、延岡市の小中一貫校、市立北方学園(池野宗宏校長、169人)に寄贈された。

 昨年のみやざき総合美術展で絵画部門の大賞に輝いた作品で、60号サイズ(縦97センチ×横130センチ)の大作。「地元の子どもたちの刺激になればうれしい」と頬を緩める。

 大久保さんは65歳の時、独学で水彩画を始め、これまで数多くの審査会で入賞。今作は、約20年前に撮影した諸塚山からの眺めをもとに、約8カ月をかけて制作したもので、何度も全体のバランスを調整し、最も美しいと思える描写を追求した。やり直しの効かない薄い雲も、思い切り良く描けたそうで「素直に自分が出せた作品」と振り返る。

 大賞の報告を受けた時は「雲の上のさらに上の賞と思っていたので、夢か、と疑うほどうれしかった」。作品はおよそ1年、県庁の正面玄関に展示されていたが、今年の5月に返却された。同郷の知人から北方学園への寄贈を提案され、「家で保管しておくなら、故郷(北方)の方たちに見ていただきたい」と、寄贈を決めたという。

 この日、同校校長室には北方学園小学校、中学校の代表児童生徒が集まり、お礼を述べた。早日渡地区在住の小学6年、藤本季里香さん(11)は「近くに、こんなすごい絵を描く人がいるとは知らなかった。絵は、とてもきれいで、迫力があるなと思った。登校した時に見ると、一日、頑張れそう」と笑顔。

 大久保さんは「故郷に自分の絵が残るというのは、大変光栄なこと」と感謝。「美術には、見たままを描いたとしても、個性がにじみ出てしまう面白さがある。(子どもたちには)ぜひ、好きなように、思ったように絵を描いて、楽しんでほしい」と話していた。

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