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恩師らの支え受け、志望校に合格

本紙掲載日:2023-04-12
6面
筑波技術大学に合格した黒木さん(左)と、恩師の小林さん(右)

延岡市出身の黒木雅也さん

◆聴覚・視覚障害者を対象とする筑波技術大に入学

 聴覚に障害のある延岡市出身の黒木雅也さん(18)はこの春、延岡高校を卒業し、難関の国立大学法人筑波技術大学・産業技術学部産業情報学科=茨城県つくば市=に進学。今月から心躍る新生活をスタートさせた。

 同大は日本で初めて視覚、聴覚障害者のための高等教育機関として設立された。幅広く豊かな教養や高度な専門知識と技術を身に付け主体的に考えること、自立した社会人として社会に貢献できるコミュニケーション力を学ぶことができる。

 県立延岡しろやま支援学校中学部を卒業後、同高に進んだ。高校1年生の時には読書量が全校1位で、一番得意な教科は英語と、文系の黒木さん。アナログ補聴器と埋め込み型の骨導補聴器の2種類を装着しているが、「声が柔らかく聞こえるアナログ補聴器の方が好き。性能をもっと良くしたい」という願いがあったため、高校のクラスは理系を選択した。

 進路を考えているうちに、自分と同じ障害のある人を助けたいと思うようになり、同大を志すようになった。

 志望したのは同大一本のみ。一般の募集枠は9人と狭き門だったため、2年生の夏から共通テスト本番に向けて5教科7科目の勉強に力を入れた。

 当時、物理の非常勤講師として同高校に勤めていた小林裕俊さん(63)から、数学や物理、化学、英語を教えてもらった。小林さんとの出会いは新入生オリエンテーションで、手話ができる小林さんと話していくうちに、一緒に勉強するようになったという。

 黒木さんは、難関を突破して希望する大学に進めたことに「素直にとてもうれしかった」と、満面の笑み。将来の夢は、手話の動きを読み取り、文字に変換するアプリを作ること。

 合格してから茨城県に引っ越すまでは授業に備え、エンジニアの経験を持つ父・祐輝さんにC言語(プログラミング言語のひとつ)を教えてもらい、アルファベットのタイピングや英単語の習得に励んだ。

 自身の経験を振り返りながら受験生に向けて「学校生活の中でたくさんの人との縁がありました。とにかく苦手な教科を無くしてください」とエールを送った。

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