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ココカラSDGs−第24回「あなたのランドセルは何色?」

本紙掲載日:2023-03-23
9面

◇当たり前を少しずつ疑って―税田さん
◇思い込み意識し生きる時代に―清水さん
◇ジェンダーレス、社会はまだまだ未熟―難波さん

 今注目のSDGs(エスディージーズ)をテーマに、地域や地球の未来を共に考えるFMのべおかの番組「ココカラSDGs」の第24回「あなたのランドセルは何色?」が、16日に放送された。内容を一部抜粋して紹介する。

 アドバイザーはSDGsコミュニケーターの難波裕扶子さん(50)=シンク・オブ・アザーズ代表、日向市亀崎西=。ゲストはグローバル・クリーン=同市亀崎=専務の税田倫子さん(46)、宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室副室長の清水鈴代さん(49)。なお、収録は1日に行われた。

▽提供:旭化成、グローバル・クリーン


−−第24回のテーマは「あなたのランドセルは何色?」です。

〈難波〉今年も間もなく春の入学シーズンを迎えます。お店では早くも来年入学の子ども向けのランドセル商戦が始まっているようですが、2022年度のテーマはジェンダーレスだったそうです。「男の子は黒、女の子は赤」は過去の光景となりました。今回は子どもたちの背中が反映する時代の変化について、ゲストのお二人と一緒に話していきたいと思います。

−−では税田さん、自己紹介をお願いします。

〈税田〉グローバル・クリーンは日向市でビルメンテナンス業、不動産業、クリーンコンサル業を行っている会社で、さまざまな人たちが働いています。
約20年前はすてきなサービスを提供でき、笑顔もすてきで、お客さま対応も完璧な人たちと仕事をしていくことを理想としていましたが、それだけでいいのかなという思いが、すごく自分の中でありました。
子育て期のお母さんだったり、障害のある人だったり、いろいろな人たちが生活している地域の中で、いろいろな人が働ける会社を目指していけたら本当にすてきだなと強く思うようになりました。
多様な価値観を集めることは、結構大変なこともあるのですが、そこを理解してくれる社員たちとみんなで考えて、ルールを作ったり話し合ったりしながらやってきました。

−−続いて清水さん、自己紹介をお願いします。

〈清水〉宮崎大学の清花アテナ男女共同参画推進室に所属しています。宮崎大学の教職員、学生の皆さんがより働きやすい、より学びやすい環境をつくるためにさまざまなことに取り組んでいます。
また最近は学内だけではなく学外の皆さんに、例えば男女共同参画に関する情報や、ダイバーシティに関する情報を提供させていただく機会も増えてきています。
税田さんとは「みやざき女性の活躍推進会議」の企画委員として、一緒に活動しています。

−−最近のランドセル売り場には色とりどりのランドセルが並んでいて、びっくりします。

〈難波〉多様化が進んでいます。当然選択肢が増えてきていますが、それでも男の子は黒をはじめとしたブルーなどの寒色系を、女の子は薄紫やピンクなどの暖色系を選びがちです。
バリエーションは増えても、男の子の6割近くが黒を選び、女の子に比べて色のばらつきが少ない傾向にあるそうです。

〈清水〉バリエーションが広がったことと、子どもたちが選択する幅が広がったことは、本当に進歩だなと思っています。
今回のテーマを受けて、そもそもなぜ男の子が黒、女の子が赤だったのか私なりに調べてみたのですが、結果、特に明確な理由は見当たりませんでした。

〈税田〉決まっている方が効率が良い場合ってありますよね。決まっている、つまり多様性をなくすと迷うことがなくなります。すると効率はどんどん上がっていくわけです。ただその代わり、その型にはまる人たちだけが生きやすくなります。
例えば、人口に対し仕事が追い付かなかった団塊世代の時代は、型にはまる人たちが社会に求められていたのではないかと思います。
そして今、人口が減少していく中で、これまでの当たり前を少しずつ疑って、多様な価値観をもっと受け入れていこうという流れに変わってきているのではないでしょうか。

〈清水〉選択肢は増えているけど、やっぱり男の子は寒色系を選びがちという傾向は、もしかすると本人は違う色を選びたいと思っていたんだけども、お父さんやお母さんから「ちょっとそれはどうかな」と方向転換を促すような働き掛けがあっているのかもしれません。

〈難波〉子どもが好きな色のランドセルを選んでも「いいね」ではなく、世間体などを考えて「ちょっとそれは」と大人が選択を狭めてしまうことはあると思います。

〈清水〉実は私、上の子が小学校に入学する時「赤いランドセルが欲しい」と言われました。男の子でしたが、「本人が選んだのであれば良いのではないか」と考えていました。
するとしばらくして「赤はやめた」と言い出して。きっと保育園などでそういうことを言った時に、「やめといたら」という声掛けがあったのだろうなと思います。

〈難波〉子どもながらに建前が必要になってきているように感じます。「本当はこの色が好きなんだけど、この色を選んだらおうちの人が悲しむかな」とか。本心ではなく建前で生きていくようになってしまう。それがこのランドセル選びから始まっているのではないでしょうか。

−−皆さん、今だったら何色のランドセルを選びますか。

〈難波〉私は藍色というか、ちょっと濃い青を選びたいです。

〈清水〉私は黒を選びそうな気がします。

〈税田〉私は差し色に赤を使った藍色がいいなと思います。

−−最近、他に気になることはありますか。

〈難波〉最近読んだ新聞で、ある保育士の言葉が印象的でした。「保育現場では男の子は男らしく、女の子は女らしくというところに疑いを持たない傾向にある」そうです。
例えば、ひな祭りは男女カップルです。男女カップルを前提とした伝統行事が当たり前に保育園で行われています。「しんどく思う子どもがいるのではと疑問を持つことが大事なんじゃないか」と書かれていました。
男びなに男の子の顔写真、女びなには女の子の顔写真を貼ることは結構あることだと思います。しかし、心が女の子で体が男の子といった子どもたちは、このこと自体つらいことだと思います。
つらいと感じる子どもたちがいることを知りながら環境を整えていくことは今からとても大事ですし、生きやすい社会になるきっかけになると感じました。行事やイベントが悪いのではなく、一人一人に違いがあることを認識しながら参加すると社会が変わるかもしれません。

〈清水〉周囲の大人が、男の子だから男びな、女の子だから女びなに顔写真を貼るように押し付けずに、「あなたはどっちに顔写真を貼りたいの」と聞いて促すなどしながら、良い形で伝統行事と親しみを持って成長していってほしいです。

〈税田〉幼児教育はとても多感な時期に行われます。その時期の影響は大きく、子どもたちは何気ない生活の中から、多くのことを吸収しているのだろうなと思います。

〈清水〉吸収する力が多ければ多いほど多様なものを吸収できる可能性を持っていることになります。だからこそ、大人ならではの枠にはめたものだけを渡さないように心掛けることはとても大事だと思います。

〈難波〉子どもに最初に性差を与えるのはおもちゃです。理系を好む女の子が少ない傾向にあるのは、女の子は理系脳を育むおもちゃで遊んでいないからというデータがあります。その結果、電気配線をつなげることができるドールハウスを作っているおもちゃメーカーがあります。そういう工夫が必要だと思います。
他にも、ジェンダーレス制服という言葉を耳にするようになりました。女性がスラックスをはく選択肢がだんだん増えている中で、スカートをはく男性に肯定的な保護者や社会がどれだけ熟成されているのでしょうか。まだまだ未熟な部分があると思います。どうしても私たちには、スカート=女性という無意識の思い込みが刷り込まれているのです。

〈清水〉男の子がスカート、女の子がズボンをはくことへの抵抗感は、無意識の思い込みが引き起こしているものだと思います。
無意識の思い込みは誰にでもあるものです。例えば、青は進め、赤は止まれ。これは私たちの生活にインプットされた思い込みの一つで、効率的に生きていくために非常に重要です。
しかし、人の生き方を否定したり、考え方を押しつけたりすると悪影響を及ぼすことになります。そのため、私たちが思い込みを意識して生きていかなければいけない時代になっていると思います。

−−大学生は今、ジェンダーについてどのように感じているのでしょうか。

〈清水〉担当している授業で、「あなたが持っている無意識の思い込みにはどんなことがありますか」と質問したことがあります。性別に関する回答では「男性が女性と食事に行ったら、男性が女性の分までおごらないといけない」「男性はご飯の準備を手伝わないし、手伝ってと呼ばれることもない」「男性が家事を手伝っただけですごいとなる」「男だから泣くな」などがありました。
子どもの頃の遊びやおもちゃ、ランドセルなどから着々と育まれてしまった思い込みが、今の20代前半の若い人たちにも強く影響を与えているように感じます。

〈税田〉産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの勉強をする時に保健福祉の基礎の基礎を学びました。その時に学んだのは、人は互いに思い込みの世界で生きているということです。そして、知らず知らずのうちに押し付けや思い込み、決め付けが生まれてしまうことになりかねないそうです。
ランドセルの色に関して言うと、「女の子だから赤だよね」と一方的に贈るのではなく、何色が欲しいか一言聞くだけで、その子ども自身が認められて自由な発想を許されたように感じると思います。

〈難波〉近頃は「有害な男らしさ」という言葉も聞きます。男性は男性らしく強くなければならないという抑圧が女性への性暴力の原因になるというデータがあります。
また、男性自身が自分の感情を表現したり、助けを求めたりすることができなくなることにもつながります。思い込みから出てくる弊害はたくさんあるのです。

−−リスナーの皆さんに伝えたいことは何ですか。

〈清水〉前回のラジオ出演の後に、ラジオを聴かれたと思われる男性からお電話を頂きました。前回、女性の活躍推進に少しフォーカスを当てた話をしたところ、「それはどうなのか。女性だけではなく男性もつらいんだ。女性だけ支援するのはおかしいんじゃないか」とのご意見でした。
これは重要なご指摘ですし、有害な男らしさと言われるように苦しさを感じている男性がいるとすれば、そういったところにも社会として目を向けて、性別にかかわらず一人の人間として伸びやかに生きていける社会が実現されていくといいなと思います。

〈税田〉ご意見を頂けたことはすごく重要です。そういうことが言い出しにくかったこれまでの風潮を少しずつ緩ませていけたらと思います。

〈難波〉ジェンダー平等とは、いろいろな表現や役割を自由に選択できるようになることです。そのような未来に近づけていけたらいいですね。

(おわり)


ココカラSDGs−□第25回の内容□
〈テーマ〉「ワタシのためのセルフケア」
〈ゲスト〉開業保健師の柏田ひろみさん(宮崎市)
〈放送日〉4月20日午後1時から
〈再放送〉4月27日午後8時から、同30日午前11時からの2回

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