弁護士の役割「人権」守ること

本紙掲載日：2022-09-29

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本町ひまわり法律事務所・外山さんが出前授業－高千穂中

　職業人の話を聞き、多様な職種への理解を深めながら働くことの意義ややりがいについて考えてもらおうと、高千穂町立高千穂中学校（吉村昭範校長、２３３人）で２６日、弁護士による出前授業があった。県弁護士会（川添正浩会長）の会員で、本町ひまわり法律事務所（日向市）の外山亮さん（３９）が講師として招かれ、２年生８５人に弁護士の仕事内容などを語った

　外山さんは冒頭、弁護士の日常業務を紹介。困っている人に法律上のアドバイスをする「法律相談」や、代理人として相手と話し合う「交渉」、相手を訴えたり、訴えられた人に代わって弁護する「裁判」について説明した。

　続けて「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という使命にも触れ、命や自由が守られ、人が幸せに生きるための権利を指す「人権」を守る仕事が弁護士の役割であることを伝えた。

　刑事事件においては被疑者の代理人を務めるケースが多く、時に悪事を働いた人を弁護する行為に疑問が寄せられることもあると明かしつつ、「有罪が確定しているわけではない。本人の言い分を正しく伝えるため、適正な刑罰を科すためにも必要なこと」などと語った。

◆実例基に「いじめ予防授業」も

　この日はまた、県外の市立中学校で起こったいじめ傷害訴訟の実例を基に「いじめ予防授業」が行われた。

　外山さんは暴力、仲間はずれ、ＳＮＳ（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）での悪口などを挙げ、どちらか一方がその行為を苦痛に感じていればいじめに当たることを強調。相手が負った損害に対して、場合によっては数千万円から１億円以上の賠償責任が生じること、名誉毀損（きそん）罪や暴行罪といった刑事責任に発展する可能性についても言及した。

　また、いじめにはいじめられる人、いじめる人、観衆（周りではやし立てる人）、傍観者（見て見ぬふりをする人）が関わっているとする４層構造の見方を解説。見て見ぬふりもいじめへの加担と捉え、「止めるという行為はとても勇気が必要で難しいこと。傍観者になった時は、周りの大人に相談することも選択肢の一つ」と勧めた。

　瀨田姫之さん（１５）は「弁護士の仕事はドラマなどでしか見ない世界だったので、すごく難しくて大変そうだったけどやりがいのある仕事だと思った。いじめを目撃した時にはまず、いじめられている人に『大丈夫？』と声を掛けてあげたい」と話した。